結婚資金が足りないと感じているのは、少数派ではありません。国の調査では、1年以内に結婚するとしたら障害があると答えた未婚者のうち、「結婚資金」を挙げた人が男性34.5%・女性31.4%で最多でした(2025年調査)。この記事では、費用を見直す順番、借入を考えるときの注意点、時期をずらす選択肢を整理します。金額の相場は事業者や地域で大きく違うので、ここでは具体的な金額を出しません。
結婚資金は、最も多く挙がる障害
国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査」は、18〜34歳の未婚者に「1年以内に結婚するとしたら、なにか障害になることがあるか」をたずねています。具体的な障害として挙がった上位は次のとおりです(未婚者全体に対する選択割合)。
| 1年以内に結婚する場合の障害 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 結婚資金 | 34.5% | 31.4% |
| 住居 | 20.6% | 16.8% |
| 職業や仕事上の問題 | 11.8% | 13.1% |
結婚資金が最も多く、住居がそれに続きます。お金が理由で迷うことは、統計の上でも一般的な状況です。
調査では、「障害がある」と答えた人の割合自体は減っています(男性53.0%→48.1%、女性58.4%→49.1%)。ただし「障害がない」が増えたわけではなく、入れ替わるように「一生結婚するつもりはない」が増えています(男性18.6%→24.9%、女性15.7%→22.2%)。研究所は、経済的な問題や仕事の問題が結婚意欲の低下に結びついている可能性を指摘しています。
金額の「相場」から入らない
結婚費用の平均額として、さまざまな数字が出回っています。ただ、こうした金額は調査主体・対象・地域・年によって大きく変わります。数字を見かけたら、次の点を確認してください。
- 誰が調査したか(事業者の調査か、公的な統計か)
- 対象は誰か(そのサービスの利用者だけを集計していないか)
- いつの調査か
- 何が含まれているか(衣装、写真、引き出物、新婚旅行が入っているかで総額は変わります)
平均に自分を合わせる必要はありません。先に決めるのは金額ではなく、何を残して何をやめるかです。
式の費用だけの話ではない
同じ調査で2番目に多かった障害は「住居」(男性20.6%、女性16.8%)でした。結婚に伴って引っ越しをする場合、式とは別の支出が同じ時期に重なります。
- 住居 … 敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・引っ越し代
- 家具・家電 … 2人分をまとめるか、買い足すかで金額が変わります
- 手続きに伴うもの … 各種の名義変更、印鑑の作成など
式の見積もりだけを見ていると、この部分が抜けます。先に「結婚に関して1年以内に出ていくお金」を全部書き出すと、どこを削るかの判断がしやすくなります。式の費用を削っても、住居の初期費用が想定より大きければ、総額は変わりません。
2人で金額を共有する
金額の話は後回しにされがちですが、先にそろえておくほうが、あとの話し合いが短くなります。
- それぞれの貯蓄額(全額を出す必要はありません。この件に使える額を共有します)
- 毎月の収支(貯められる額の見当がつきます)
- すでにある返済(奨学金、車、カードの分割。新たな借入を考えるときに関わります)
- いつまでに、いくら必要か
片方だけが負担を感じている状態で進むと、金額そのものより、決め方のほうが問題になります。決めた内容より、決め方を先にそろえるほうが後に残りません。
援助の申し出があったとき
双方の家族から援助の話が出ることがあります。受けるかどうかは自由ですが、受ける場合は先に確認しておくことがあります。
- 金額と時期(いつ渡されるかで、支払いの計画が変わります)
- 使い道の希望があるか(式に使ってほしい、住居に使ってほしいなど)
- 双方の家で差が出る場合の扱い(金額が違うこと自体は珍しくありません。後から話題にしない形を決めておきます)
なお、直系の親族から受け取る結婚資金には、一定の要件を満たす場合に非課税となる制度もあります。金額が大きくなる場合は、税務署や税理士に確認してください。
費用を見直す順番
削る順番を決めておくと、話し合いが進みます。金額の大きいものから見るのが基本です。
- 人数 … 料理と引き出物は1人あたりで増えるので、総額への影響がもっとも大きい部分です
- 形式 … 挙式のみ、食事会、写真だけ、という選択肢があります。組み合わせも可能です
- 時期と曜日 … 会場によって料金が変わることがあります。見積もりの段階で確認できます
- 持ち込み … 衣装、写真、引き出物を自分で用意できるか。持ち込み料の有無を先に確認します
- 演出 … 削っても進行そのものは成立する部分です
見積もりは最初の提示額から増えるのが通常です。項目を追加していく形式が多いため、契約前に「これ以上増える可能性がある項目はどれか」を聞いておくと、後から慌てずに済みます。
借入を考えるとき
金融機関の商品を使う場合、確認する点は共通しています。
- 金利と総返済額(月々の返済額だけを見ない。完済までに払う総額を出してもらう)
- 返済期間(長くすると月々は減りますが、総額は増えます)
- 繰り上げ返済ができるか(手数料の有無も)
- 他の予定との重なり(住居の契約、引っ越し、家具の購入が同じ時期に来ていないか)
返済の目安として「収入の何%以内」といった数字が語られることがありますが、公的に決まった基準があるわけではありません。家賃、保険、他の借入を書き出したうえで、毎月いくらまでなら無理がないかを自分で計算するほうが確実です。
カードローンやフリーローンは、目的別のローンより金利が高いことがあります。複数の商品を比較するときは、同じ条件(借入額・期間)で総返済額を並べてください。
時期をずらす選択肢
式や披露宴を先延ばしにする、あるいは行わないという選択もあります。婚姻届の提出と、式を挙げることは別の手続きです。
- 先に入籍し、式は後にする(記念日に合わせて、数年後に行う人もいます)
- 写真だけ残す
- 家族だけの食事会にする
周囲から言われることが気になる場合もありますが、費用を負担するのは本人たちです。先に2人で方針を決めてから、双方の家族に伝える順番にすると、話が混ざりません。
貯める段階でできること
短期間で大きく増やす方法はありません。確実なのは、先に分けておく形にすることです。
- 別の口座に分ける(生活費の口座と混ざると、残高が読めなくなります)
- 収入が入った時点で移す(余った分を貯める形だと、月ごとの金額が安定しません)
- 2人分を合算して管理する(それぞれで貯めていると、総額が把握しにくくなります)
- 固定費から見直す(通信費、保険、定額の契約。一度変えれば毎月続きます)
期間が短い場合は、貯める額を増やすより、支払いの時期をずらせないかを会場や事業者に相談するほうが現実的なこともあります。分割の可否や、支払いの締め切りは事業者によって違います。
結婚意欲そのものが下がっている背景
同じ調査では、「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚者の割合が男性75.1%(前回81.4%)、女性77.8%(前回84.3%)となり、男女とも初めて8割を下回りました。
結婚に利点があると答えた割合も、男性は6割台から5割台、女性は7割から6割台へ減っています。具体的な利点では、前回まで上昇していた「経済的に余裕がもてる」が今回は低下に転じました。一方で独身生活の利点としては、男性で「金銭的に裕福」の選択率が上がっています。
研究所は、結婚の障害となるような経済的な問題や仕事上の問題を抱えていた一部の未婚者が、「結婚したいが結婚できない」という捉え方から「一生結婚するつもりはない」という考えを持つに至った可能性を指摘しています。
資金の問題で迷っている段階なら、やめるか進めるかの二択にする前に、形式や時期を変える選択肢を並べてみるほうが判断しやすくなります。
まとめ
- 結婚資金は最も多く挙がる障害。1年以内の結婚に障害があると答えた未婚者のうち、男性34.5%・女性31.4%が挙げている
- 金額の相場から入らない。誰がいつ何を含めて調べた数字かを確認する
- 削る順番は人数から。料理と引き出物は1人あたりで増える
- 借入は総返済額で比較する。「収入の何%以内」という公的な基準はない
- 入籍と式は別の手続き。時期をずらす、形式を変えるという選択肢がある
情報源:国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査 結果の概要」(2025年調査・2025年6月30日現在)図表1-8・図表1-9
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