お見合い結婚を後悔している。そう感じたときに知っておきたいことが2つあります。1つは、家庭裁判所に持ち込まれた夫婦の申立て理由でいちばん多いのは「性格が合わない」だということ。もう1つは、離婚ではなく「関係を続けたい」という申立てが年に1,841件あることです。収入印紙1,200円分で、話し合いの場を借りられます。ただし暴力や脅迫が関わっている場合は、話し合いより先に相談してください。
お見合い結婚は、いまや結婚全体の1割
「同じ立場の人が周りにいない」と感じるのは、実際にそうだからです。
国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査によると、最新年の結婚で見合い結婚は9.9%でした。SNSやマッチングアプリなどで知り合った「ネットで」の15.2%に抜かれています。この調査では「見合いで」と「結婚相談所で」と答えたものを見合い結婚として集計しています(出典:第16回出生動向基本調査|国立社会保障・人口問題研究所の図表5-2)。
1割しかいないので、身近に同じ経緯の人が見つからず、相談しづらい。その感覚自体は数字と合っています。
後悔の理由でいちばん多いのは「性格が合わない」
一方で、お見合い結婚に限った後悔率や離婚率の公的な統計は見つかりません。「お見合い結婚をした人の約◯割が後悔している」という数字も出どころをたどれないので、この記事では書きません。代わりに確かめられるのが、夫婦の問題が家庭裁判所に持ち込まれたときの申立ての動機です。
令和6年(2024年)の司法統計から、主な項目を挙げます。妻が申立人の件数が多い順に並べました。
| 申立ての動機 | 夫が申立人 | 妻が申立人 |
|---|---|---|
| 性格が合わない | 9,233 | 16,503 |
| 生活費を渡さない | 882 | 12,461 |
| 精神的に虐待する | 3,358 | 11,288 |
| 暴力を振るう | 1,441 | 7,690 |
| 異性関係 | 1,820 | 5,743 |
| 浪費する | 1,764 | 3,662 |
| 性的不調和 | 1,622 | 2,862 |
| 家庭を捨てて省みない | 717 | 2,544 |
| 酒を飲み過ぎる | 377 | 2,479 |
| 家族親族と折り合いが悪い | 1,699 | 2,358 |
| 同居に応じない | 1,359 | 974 |
| 病気 | 629 | 948 |
申立人の総数は夫が15,396件、妻が43,033件、あわせて58,429件です。この統計は、申立人が挙げた動機のうち主なものを3個まで数える方法で集計されています(表には「その他」「不詳」を載せていません。出典:令和6年司法統計年報 家事編(裁判所)の第19表。容量の大きいPDFです)。
この表から言えること
- 夫でも妻でも、いちばん多い理由は「性格が合わない」。申立人の総数に対する割合を件数から計算すると、夫の申立てで60.0%、妻の申立てで38.3%にあたります
- 妻からの申立てが、夫からの約2.8倍あります
- 妻の申立てでは「生活費を渡さない」12,461件、「精神的に虐待する」11,288件が2位・3位で、「性格が合わない」に迫ります。夫の申立てでは2位の「精神的に虐待する」3,358件と1位の差が大きく、男女で理由の構成が違います
お見合い結婚に限った内訳はありません。ここから言えるのは、家庭裁判所に持ち込まれた夫婦全体で最も多い動機が「性格が合わない」だということまでです。お見合いだから多い、という話ではありません。
暴力や脅迫が関わっている場合は、話し合いより先に相談する
ここから先は、話し合いで動かせる範囲の話になります。後悔の理由に暴力や脅迫が含まれている場合、この順序は当てはまりません。
上の表でも、妻の申立てで「暴力を振るう」が7,690件、「精神的に虐待する」が11,288件あります。少ない話ではありません。相手に不満を切り出すことや、あとで説明する調停の申立てより先に、次の窓口に相談してください。
- DV相談+ 0120-279-889:24時間受付。文字でやりとりするチャット相談は12時から22時で、10か国語に対応しています(出典:DV相談+|内閣府)
- DV相談ナビ #8008:お近くの都道府県の配偶者暴力相談支援センターにつながります。相談やカウンセリングのほか、緊急時の安全確保と一時保護、保護命令制度の案内も行っています(出典:相談機関一覧|内閣府男女共同参画局)
「別れる」以外の申立ても実際にある
同じ司法統計に、あまり知られていない数字があります。家庭裁判所に持ち込まれた58,429件を、申立人が何を求めたかで分けたものです。
| 申立ての趣旨 | 件数 |
|---|---|
| 離婚 | 35,720 |
| 婚姻費用の分担 | 20,784 |
| 円満調整 | 1,841 |
| 同居・協力扶助 | 84 |
| 総数 | 58,429 |
「円満調整」は、関係を続けたいという申立てです。離婚を求める35,720件に対して1,841件で、夫からが1,100件、妻からが741件です(同じ司法統計の第15表)。
なぜこれだけ少ないのかは、この統計からは分かりません。関係を続けたい人はそもそも裁判所を使わない、という説明も成り立ちます。ただ、後悔しているが別れたいわけではない、という段階の人が使える手続きが実際に用意されていることは確かです。
二人で話せないときは、話し合いの場を借りられる
当事者だけで話すと感情が先に立つ、という場合に使えるのが、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満)です。上の表の「円満調整」がこれにあたります。
裁判所の説明では「夫婦が円満な関係でなくなった場合には、円満な夫婦関係を回復するための話合いをする場として」利用でき、「離婚した方がよいかどうか迷っている場合」にも使えるとされています。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です(出典:夫婦関係調整調停(円満)|裁判所)。
離婚を決めた人だけの手続きではありません。進行は裁判官一人と民間の調停委員二人以上で構成される調停委員会が受け持つので、何をどの順で話すかを自分で組み立てなくても場が成立します。
どのくらいの期間がかかるか
司法統計には、婚姻関係事件が終わるまでの期間も出ています(第16表)。円満調整だけを切り出した数字ではなく、離婚や婚姻費用も含む婚姻関係事件全体の期間です。趣旨別の内訳は公表されていません。
| 審理期間 | 件数 |
|---|---|
| 1か月以内 | 3,230 |
| 3か月以内 | 12,446 |
| 6か月以内 | 18,045 |
| 1年以内 | 17,204 |
| 2年以内 | 6,815 |
| 2年を超える | 689 |
件数から計算すると、6か月以内に終わっているものが57.7%、1年以内までで87.2%です。すぐに結論が出る手続きではありませんが、何年もかかるものでもありません。
申立ての書類と申立先
書類は裁判所のサイトから入手できます。夫婦関係調整調停(円満)の申立書|裁判所のページに、申立書、円満の記入例、事情説明書などがまとめて置かれています。記入例があるので、書き方で止まることは少ないはずです。
申立先は「相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所」です。必要な戸籍や、まとまらなかった場合の扱いは実家に帰った妻に会う方法|連絡がつかないときの3つの順序で詳しく書いています。手続きの中身は同じです。
お見合い結婚で「合わない」に気づくのが遅れる理由
ここは統計のない領域なので、断定はできません。よく挙げられる事情として、次のようなものがあります。
- 一緒に過ごした時間が短い:交際期間が数か月で結婚に至ると、生活の細部が見えないまま同居が始まります
- 家族や紹介者の期待が乗っている:自分たちだけの判断ではないので、迷いを口に出しにくくなります
- 断る機会が少ない:段取りが進むほど、止めるほうに手間と説明が必要になります
- かけた費用や時間が惜しくなる:相談所の費用や活動期間が長いほど、引き返しにくくなります
どれも「相手が悪い」という話ではありません。見極める時間が足りなかったという構造の問題として捉えたほうが、次に何をするかを決めやすくなります。
「性格が合わない」を分解してみる
「合わない」のままだと、相手にも伝わらず、自分でも何を変えたいのか分からなくなります。分解すると、話し合える形になります。
- 生活時間:起きる時間、帰る時間、休日の使い方
- お金の使い方:何にいくらまで使っていいか、貯める額、相手に相談する基準
- 親との距離:帰省の頻度、同居の予定、金銭的な支援
- 会話の量:1日に何をどこまで話すか。相談してほしいのか、放っておいてほしいのか
- 家事の分担:誰が何をするかではなく、誰が段取りを決めるか
この5つのうち、自分がいちばん苦しいのはどれかを1つ選びます。全部を一度に持ち出すと、相手には「全部が不満」としか伝わりません。
親族との関係が重い場合は親戚付き合いの悩み解決|円満な関係を築くためのポイントとNG例、価値観のずれが中心なら結婚後に価値観が合わない…それでも愛が続く夫婦の秘訣も参考になります。
選んだ1つを、どう持ち出すか
分解できても、切り出し方でつまずくことがあります。
持ち出すときに決めておくこと
- 1回で1つだけにする:2つ目を足すと、相手には「不満の列挙」に変わります
- 相手の性格ではなく、場面で言う:「だらしない」ではなく「帰る時間が分からないと夕食の支度が決まらない」
- 決めたいことを1つ出す:「どうにかしてほしい」ではなく「帰りが遅くなる日は連絡してほしい」
- その場で答えを求めない:「今すぐ決めたいわけじゃない」と添えると、相手が防御に入りにくくなります
避けたい持ち出し方
- 親や紹介者を引き合いに出す:「親も心配している」と言うと、二人の問題が家同士の話になります
- お見合いだったことを理由にする:「恋愛結婚なら違った」は、相手には否定しようのない話で、返す言葉がありません
- 反論に即答する:言い返された内容をその場で処理しようとすると、最初に出した1つが流れます
2回、3回と続けても動かない場合は、二人で話す段階を終えて、前に書いた調停に進むという判断になります。
別居を考える段階になったら
距離を置くことを考える場合、生活費の問題が出てきます。ここにも手続きがあります。
婚姻費用の分担請求調停は「別居中の夫婦の間で、夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用(婚姻費用)の分担について、当事者間の話合いがまとまらない場合」に使うものです。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手で、話合いがまとまらない場合は審判手続が開始されます(出典:婚姻費用の分担請求調停|裁判所)。
金額の目安は、裁判所が公表している算定表で確かめられます。令和元年12月23日に司法研究の報告として公表されたもので、親の収入や子どもの年齢に応じた額が載っています。表は「夫婦のみ」「子1人」「子2人」「子3人」に分かれています(出典:司法研究の報告のページ|裁判所)。
相談先
どこに聞けばいいか迷ったときの入口です。
- 法テラス・サポートダイヤル 0570-078374:法的なトラブルについて、適切な法制度や関係機関を紹介してくれます。受付は平日9時から21時、土曜9時から17時(祝日・年末年始を除く)。利用料は無料で、通話料は発信者の負担です。インターネットを使うIP電話やプリペイド携帯、海外からは 03-6745-5600(出典:お電話でのお問合せ|法テラス)
- 家庭裁判所:調停の申し立て方、必要な切手の金額、期日の見通しの確認先
- DV相談+ 0120-279-889:暴力や脅迫が関わっている場合
費用が心配な場合、法テラスに民事法律扶助という制度があります。収入と資産が一定の基準以下であることが条件で、無料の法律相談や、弁護士・司法書士の費用の立替えが受けられます。ただし立替えは「分割で法テラスに返済していただく制度」で、もらえるお金ではありません(出典:民事法律扶助業務|法テラス、立替制度に関するよくあるご質問|法テラス)。
これから結婚を決める段階なら
すでに後悔している人向けに書いてきましたが、まだ決める前の段階でこのページに来た方もいると思います。見ておくべきは、上で分解した5つ(生活時間・お金の使い方・親との距離・会話の量・家事の段取り)を、結婚前にどこまで具体的に話せているかです。
「性格が合うか」は抽象的すぎて、結婚前には判断できません。5つのうち1つでも、金額や時間の単位まで具体的に話せていないものがあれば、そこが結婚後に「合わない」として出てくる場所になります。価値観のずれについては結婚後に価値観が合わない…それでも愛が続く夫婦の秘訣も参考になります。
まとめ:覚えておきたい3つのポイント
- お見合い結婚の後悔率を示す公的な統計はない。よく見る「約◯割」という数字は出どころをたどれない。確かめられるのは、家庭裁判所に持ち込まれた夫婦の申立て動機で、いちばん多いのは夫でも妻でも「性格が合わない」(令和6年・夫9,233件/妻16,503件)
- 「円満調整」という申立ては年に1,841件ある(離婚を求めるものは35,720件)。関係を続けたい段階で使える手続きが、収入印紙1,200円分で用意されている
- 「合わない」は生活時間・お金・親との距離・会話量・家事の段取りに分解し、1回で1つだけ持ち出す。暴力や脅迫が関わっている場合は、話し合いより先に DV相談+(0120-279-889)へ
情報源(2026年7月時点で確認):裁判所「令和6年司法統計年報 家事編」第15表・第16表・第19表、裁判所「夫婦関係調整調停(円満)」、裁判所「夫婦関係調整調停(円満)の申立書」、裁判所「婚姻費用の分担請求調停」、裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」(令和元年12月23日公表)、国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」図表5-2、法テラス「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」「民事法律扶助業務」「立替制度に関するよくあるご質問」、内閣府「DV相談+」、内閣府男女共同参画局「相談機関一覧」
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