恋愛でストレスを感じるとき、気持ちの持ち方を変えようとしても続きません。厚生労働省は、ストレスをストレッサー(原因になる出来事)とストレス反応に分けて説明し、悪影響を和らげるための工夫をコーピング(対処)と呼んでいます。この記事では、何がストレッサーになっているかの整理、伝え方、聞き方、そして自分の側で整えられる部分を順にまとめます。
何が原因になっているかを分ける
厚生労働省「こころの耳」は、日常生活でストレッサーを経験すると、心理面・身体面・行動面にストレス反応が現れると説明しています。そして、対処能力を上回るストレッサーを経験したり、ストレッサーが長く続いたりすると反応が慢性化し、活気が低下してくるとしています。
「恋愛がつらい」とまとめてしまうと、手をつける場所が決まりません。出来事の側を書き出してみてください。
- 連絡の頻度やタイミングが合わない
- 会える回数が思っているより少ない
- 将来の話がまとまらない
- 言いたいことを言えていない状態が続いている
- 相手の言動で気になることがあるが、伝えていない
書き出すと、ひとつの大きな問題ではなく、いくつかの別の問題が重なっていることが分かることがあります。全部を一度に解決しようとすると、どれも進みません。
書き出したあとに、自分で変えられるもの、相手と話せば変わる可能性があるもの、どちらでもないものに分けてみてください。どちらでもないものに時間をかけていると、消耗だけが残ります。相手の過去や家族の事情などは、この3つ目に入ることが多い部分です。
伝えるときの考え方
同じ厚生労働省のサイトは、相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適した表現で伝えるコミュニケーション方法を「アサーション」と呼んでいます。
この考え方に沿うと、次の2つはどちらも外れます。
- 言わずに我慢する(相手は気づかないまま、同じことが続きます)
- 強く言って押し切る(内容より言い方のほうが問題として残ります)
実際に言葉にするときは、主語を自分にするほうが受け取られやすくなります。「なんで連絡くれないの」ではなく「連絡がないと、少し落ち着かない」という形です。相手の行動を責める形にせず、自分がどうだったかを言うということです。
聞くときにやること
伝えるのと同じくらい、相手の話をどう受け取るかも関係します。
- 最後まで聞く(途中で「でも」と挟むと、相手は説明をやめます)
- 受け取ったことを短く返す(「そう思っていたんだね」だけでも、聞いていることが伝わります)
- すぐ解決策を出さない(話を聞いてほしいだけの場面もあります)
- 質問は開いた形にする(「嫌だった?」より「どう感じた?」)
相手が話しているときに次に言うことを考えていると、内容が入ってきません。聞くことと、自分の意見を準備することは、同時にはできません。
言葉以外の部分
同じ内容でも、伝わり方は言葉以外の部分で変わります。
- 画面を見ながら話さない(聞いていないと受け取られます)
- 返事をする(うなずく、相づちを打つ。反応がないと、相手は話すのをやめます)
- 文字だけで込み入った話をしない(短文のやりとりでは、意図が伝わりにくくなります)
メッセージのやりとりは、書いた側の意図と読んだ側の受け取り方がずれやすい形式です。感情が動いている話題は、文字ではなく話す形に切り替えるほうが、こじれにくくなります。すぐに会えない場合でも、通話に変えるだけで違います。
話す時間を決めておく
何かあったときだけ話す形だと、話題そのものが緊張を伴うものになります。
- 定期的に短く話す時間を作る(週に1回10分でも、予定と気になることを確認する)
- 問題が起きていないときにも話す(問題がある日だけ話す形にしない)
- 深夜と疲れているときは避ける(判断が雑になり、言葉も強くなります)
時間を決めておくと、「いつ言おうか」と考える時間が減ります。伝える機会があると分かっているだけで、その場で言わずに済む場面も出てきます。
話す内容を先に1つか2つに絞っておくのも有効です。まとめて何件も出すと、相手は責められていると受け取ります。件数を減らすほど、1件ごとの話は前に進みます。
自分の側で整える
こころの耳は、ストレッサーによる悪影響を和らげるための工夫を「コーピング」として紹介しています。相手に働きかける方法だけが対処ではありません。
- 出来事そのものに働きかける(連絡の頻度を話し合う、会う予定を先に決める)
- 自分の受け取り方に働きかける(不安に思ったことと、実際に起きたことを並べて書く)
- 体の状態を整える(睡眠を削らない、飲酒を増やさない)
3つ目は見落とされがちです。厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」によると、ここ1か月で睡眠で休養がとれている人は74.9%で、平成21年からの推移では有意に減っています。1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は男性38.5%・女性43.6%です。眠れていない状態では、同じ出来事でも反応が強く出ます。
関係の外に時間を持つ
2人の関係の中だけで時間を過ごしていると、そこで起きたことの比重が大きくなります。
- 友人と会う予定を、相手の予定と関係なく入れる
- 1人で過ごす時間を確保する
- 相談できる相手を、恋人以外にも持っておく
厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査」では、仕事や職業生活のストレスについて相談できる人がいる労働者は94.6%、そのうち実際に相談したことがある人は74.7%でした。相手がいることと、実際に話すことは別だという数字です。
状態が続くときは
厚生労働省は、気分の落ち込みや睡眠の問題などの症状が2週間以上続く場合には「うつ」が疑われるとして、専門家(精神科、心療内科)に早めに相談することをすすめています。
また、相手から行動を細かく制限される、連絡を常に確認される、暴力があるといった状態は、話し合いで扱う範囲を超えています。その場合は、配偶者暴力相談支援センターや警察相談専用電話「#9110」など、外部の窓口に相談してください。
まとめ
- ストレッサーを書き出して分ける。ひとつの問題ではなく、別の問題が重なっていることがある
- 言わずに我慢するのも、押し切るのも外れる。主語を自分にして伝える
- 聞くときは最後まで聞き、すぐ解決策を出さない
- 問題がないときにも話す時間を決めておく
- 自分の側の体調も対処に含まれる。睡眠で休養がとれている人は74.9%で減少傾向
情報源:厚生労働省「こころの耳」ストレス軽減ノウハウ、厚生労働省「こころの耳」用語解説「アサーション」、厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」、厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人調査
コメントを残す