暮らし・人間関係

感情をコントロールする方法|怒りを上手に扱う秘訣と実践法

怒りが出たときに、その場で気持ちを抑えようとしてもうまくいかないことがあります。厚生労働省は、ストレスをストレッサー(原因になる出来事)とストレス反応に分けて説明しています。怒りは反応のほうなので、出来事の側と、体の状態の側から手を入れる余地があります。この記事では、その場でできることと、起きにくくするための生活の整え方を分けてまとめます。

怒りは「反応」として扱う

厚生労働省「こころの耳」は、ストレスの仕組みを次のように説明しています。日常生活でストレッサーを経験すると、心理面・身体面・行動面にストレス反応が現れる、という順序です。

そして、対処能力を上回るほどのストレッサーを経験したり、ストレッサーが長期間続いたりすると反応が慢性化し、活気が低下してくるとしています。

この見方を当てはめると、怒りっぽくなっている状態は、性格の問題というより負荷がかかり続けている状態の表れである場合があります。同じ出来事でも、疲れているときのほうが強く反応します。

こころの耳では、ストレッサーによる悪影響を和らげるための工夫をコーピング(対処)として紹介しています。この記事では、怒りが出たときに取れる行動を事前に用意しておく、という考え方として扱います。感情そのものを消す話ではありません。

その場でできること

怒りが出た直後にできるのは、判断や発言を遅らせる部分です。

  • その場を離れる(水を飲む、席を立つなど、理由をつけて1〜2分外す)
  • 返事を保留する(「少し考えてから返します」と伝える。その場で結論を出さない)
  • 息を長く吐く(吸うことより、吐く時間を長くすることに意識を向ける)
  • 言葉にせず書く(送らない前提で、思っていることを書き出す)

強い言葉が出た後では、内容より言い方のほうが問題として残ります。怒りを感じたこと自体は問題になりませんが、その場で出した言葉は取り消せません。

とくにメッセージやメールは、勢いで送ると形に残ります。書いてから送るまでに時間を置く、下書きのまま一晩置く、といった手順にしておくと、後から読み直せます。

後から振り返る

その場での対処だけでは、同じことが繰り返されます。落ち着いてから記録すると、傾向が見えます。

  • いつ起きたか(時間帯。夕方や疲れているときに集中していないか)
  • 直前に何があったか(睡眠不足、空腹、急な予定変更など)
  • 相手や場面(特定の人、特定の状況に偏っていないか)
  • 実際に何と言ったか(言い方の傾向が分かります)

書き出すと、怒りの中身が「怒り」ではないことがあります。予定が狂ったことへの焦り、わかってもらえないことへの落胆、疲れの限界。名前が変わると、対処の仕方も変わります。

起きにくい状態を作る

同じ出来事でも、体の状態によって反応の強さは変わります。厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」によると、ここ1か月で睡眠で休養がとれている人は74.9%で、平成21年からの推移では有意に減っています。1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は男性38.5%・女性43.6%で、男性の30〜50歳代、女性の40〜60歳代では4割を超えています。

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、良質な睡眠のための環境づくりとして、日中にできるだけ日光を浴びること、就寝の約1〜2時間前に入浴して身体を温めてから寝床に入ること、寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まずできるだけ暗くして寝ることを挙げています。

睡眠を削っている状態で感情のコントロールだけ改善しようとすると、うまくいきにくくなります。先に整えられるのは、生活のほうです。

負荷そのものを減らせないか見る

厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスがある労働者は68.3%でした。内容は「仕事の量」43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%、「仕事の質」26.4%の順です(主なもの3つ以内)。年齢別では30歳代73.3%、40歳代73.0%で高くなっています。

令和5年は82.7%でしたが、設問の形式を変えているため前年との単純な比較はできないと調査自体が注記しています。

怒りが出やすい時期に、仕事量や責任が増えていないかを確認してみてください。反応の側だけを変えようとするより、出来事の側を減らせないかを見るほうが早いことがあります。

話せる相手を持つ

同じ調査では、ストレスについて相談できる人がいる労働者は94.6%でした。相談できる相手は「家族・友人」68.6%、「上司」65.7%の順です。実際に相談したことがある人は、相談できる人がいる労働者のうち74.7%でした。

相手がいることと、実際に話すことは別だという数字です。怒りが続いている状態を1人で抱えていると、扱い方を考える余裕もなくなります。

話す相手は、その出来事に関係のない人のほうが向いていることもあります。当事者に話すと、その場で解決を求める話になりやすいためです。状況を説明するだけでも、自分が何に反応していたのかが整理されます。

状態が続くときは

厚生労働省は、気分の落ち込みや睡眠の問題などの症状が2週間以上続く場合には「うつ」が疑われるとして、専門家(精神科、心療内科)に早めに相談することをすすめています。

いらだちが続く、眠れない、以前は気にならなかったことに反応してしまうといった状態が続いているなら、対処法の工夫だけで扱う場面ではありません。相手や家族に手を上げてしまう、物を壊してしまうといったことが起きている場合は、早い段階で相談してください。

まとめ

  1. 怒りは反応。出来事(ストレッサー)と体の状態の両方から手を入れられる
  2. その場では判断と発言を遅らせる。感じたこと自体は問題にならないが、出した言葉は取り消せない
  3. 後から記録すると傾向が見える。時間帯、直前の出来事、相手。中身が焦りや落胆であることもある
  4. 睡眠を先に整える。睡眠で休養がとれている人は74.9%で減少傾向。6時間未満が男性38.5%・女性43.6%
  5. 負荷そのものを減らせないか見る。強いストレスがある労働者は68.3%で、内容は仕事の量が最多

情報源:厚生労働省「こころの耳」ストレス軽減ノウハウ、厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人調査第17表・第18表・第19表、厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

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