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認知症とは|物忘れとの違いと、相談できる場所

認知症とは|物忘れとの違いと、相談できる場所

認知症は、病名ではなく状態を指す言葉です。法律は「日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態」と定めています。原因となる病気はいくつもあり、どれにあたるかを本人や家族だけで判断することはできません。この記事では、物忘れとの違い、気になる変化があったときの相談先、診断までの流れをまとめます。

認知症とは

介護保険法の第5条の2は、認知症を次のように定めています。

「アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態」

令和5年にできた認知症基本法(共生社会の実現を推進するための認知症基本法)も、同じ定義を使っています。

ここから分かることが2つあります。

  • 認知症は特定の病名ではなく、いくつもの病気によって起こる状態を指す
  • 分かれ目は「日常生活に支障が生じる程度にまで」という部分にある

認知症基本法は、基本理念のひとつに認知症の人への支援だけでなく、その家族等への支援が適切に行われることを挙げています。家族が相談することは、制度の想定に含まれています。

加齢による物忘れとの違い

年齢を重ねれば誰でも物忘れは増えます。違いとしてよく挙げられるのは次の点です。

加齢による物忘れ 認知症による場合
忘れ方 体験の一部を忘れる 体験したこと自体が抜けることがある
自覚 忘れている自覚がある 自覚が薄いことがある
日常生活 支障は出にくい 支障が出てくる

ただし、この表で判断できるものではありません。どちらとも言いにくい状態は実際にあり、本人の性格や生活環境によっても見え方が変わります。

定義にあるとおり、基準になるのは「日常生活に支障が生じているかどうか」です。物忘れの回数そのものより、支払いができなくなった、火の始末が不安になった、といった生活の変化のほうが、相談の目安になります。

原因となる病気はいくつもある

認知症にはいくつかの原因疾患があり、症状の出方は異なります。種類を本人や家族だけで判断することはできません。ここでは名前と大まかな傾向だけを挙げます。

  • アルツハイマー型認知症 ― 最も多いとされる型です。記憶の障害から始まることが多いとされます
  • 血管性認知症 ― 脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患に伴って起こります
  • レビー小体型認知症 ― 実際にはないものが見える、調子の波があるなどの特徴が知られています
  • 前頭側頭型認知症 ― 行動や性格の変化が目立つことがあります

法律の定義も「アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患」という書き方で、複数の病気をまとめて指しています。

どの型にあたるかは、医師が検査をして判断することです。特徴に当てはまるかどうかを家族が調べて結論を出す必要はありません。

気になる変化があったとき

相談のきっかけになりやすいのは、次のような変化です。

  • 同じことを何度も尋ねる
  • 慣れていた家事や支払いでミスが増える
  • 日付や場所が分からなくなることがある
  • 性格や行動に変化が出ることがある

これらがあるから認知症と決まるわけではありません。うつ、薬の影響、身体の病気などでも似た変化が出ることがあります。

ここが大事なところで、原因によっては、治療によって改善するものもあります。「年のせいだから」で済ませず、一度相談する意味はそこにあります。

どこに相談するか

診断がついていない段階、介護保険の認定を受けていない段階でも相談できます。

  • 地域包括支援センター ― 介護保険法に定められた総合的な相談窓口です。相談に費用はかかりません。どこに行けばよいか分からないときの最初の窓口になります
  • かかりつけ医 ― 普段の様子を知っている医師に、家での変化を伝えます。必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらえます
  • 認知症疾患医療センター ― 専門的な検査や相談に対応する医療機関です。お住まいの地域にある場合、地域包括支援センターや市区町村の窓口で教えてもらえます
  • 市区町村の高齢者福祉の窓口 ― 地域の相談先や、市区町村独自の支援を案内してもらえます

本人を連れて行く前に、家族だけで相談しても構いません。どう切り出すか、どの医療機関がよいかを含めて相談できます。

診断までの流れ

医療機関によって違いますが、一般的には次のように進みます。

  1. 問診 ― いつ頃からどんな変化があったかを聞かれます。家族が付き添って、気づいたことを伝えます
  2. 認知機能の検査 ― 質問に答える形式の検査が行われます
  3. 画像検査や血液検査 ― 脳の状態や、他の病気が隠れていないかを調べます
  4. 医師による診断

受診のときは、いつ頃から、どんなことがあったかをメモにして持っていくと伝わりやすくなります。本人の前では言いにくいことがある場合、メモを渡す方法もあります。

使っている薬がある場合は、お薬手帳も持参します。薬の影響で似た変化が出ていないかを確認するためです。

診断されたら使えるもの

認知症と診断された場合、介護保険のサービスを検討する段階に入ります。入口は次のとおりです。

  • 要介護認定の申請 ― 市区町村に申請します。認定を受けると介護サービスを費用の1割から3割で使えます
  • 地域包括支援センター ― 申請の手続きから、使えるサービスの相談まで続けて対応してもらえます
  • 介護サービス ― 訪問介護、デイサービス、ショートステイなどを組み合わせて使います
  • 成年後見制度 ― 財産の管理や契約が難しくなってきた場合に、必要に応じて相談します

介護保険の仕組みは介護保険とは、申請から認定までの流れは要介護認定とはでまとめています。

診断がついてすぐに、すべてを決める必要はありません。認定の申請だけ先に出しておく、という進め方もできます。認定には時間がかかるので、早めに動いておくと、必要になったときに使い始められます。

認知症基本法が家族への支援も基本理念に挙げているとおり、家族が抱え込まずに相談することは、制度が想定している使い方です。

まとめ

  1. 認知症は病名ではなく状態。法律は「日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態」と定めている
  2. 分かれ目は物忘れの回数ではなく、生活に支障が出ているかどうか。
  3. 原因となる病気は複数あり、どれにあたるかは検査をして医師が判断する。家族が見分ける必要はない
  4. 似た変化は、うつや薬の影響、身体の病気でも起こる。原因によっては治療で改善するものもある
  5. 診断前・認定前でも相談できる。地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症疾患医療センター
  6. 家族だけで相談してよい。認知症基本法も、家族等への支援を基本理念に挙げている

この記事は、受診や相談の目安をまとめたものです。診断や治療について判断するものではありません。気になる変化があるときは、医療機関や地域包括支援センターにご相談ください。介護保険制度は改正されることがあり、このページは2026年10月時点で確認できる法令・厚生労働省資料に基づいています。

情報源:介護保険法第5条の2・第115条の46、共生社会の実現を推進するための認知症基本法第1条・第2条・第3条、厚生労働省「介護保険制度の概要」(令和7年7月)

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