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入院中でも要介護認定を申請できる?|退院に備える進め方

入院中でも要介護認定を申請できる?|退院に備える進め方

入院中でも、要介護認定の申請はできます。介護保険法に、入院していることを理由に申請を断る規定はありません。認定調査も入院先で受けられます。ただし入院したばかりの時期には、いったん取り下げて出し直すよう案内されることがあります。この記事では、その違いと、退院に間に合わせるための進め方をまとめます。

入院中でも申請できる

介護保険法の第27条第1項は、要介護認定を受けようとする人は申請書に被保険者証を添えて市区町村に申請すると定めているだけで、入院しているかどうかには触れていません。居所の条件もありません。

調査についても、第27条第2項は市区町村の職員が本人に「面接させ」と書いているだけで、場所を自宅に限定していません。

制度の様式を見ると、入院中の人が対象になることがはっきりします。厚生労働省の認定調査員テキストには、認定調査票の書き方として次のように示されています。

  • 調査の「実施場所」は自宅内か自宅外に印をつけ、自宅外なら場所名を記入する
  • 「現住所」は、病院・施設等の入院・入所者は、病院・施設等の住所と電話番号を記入する
  • 施設・病院に入院している場合は、施設(病院)名、住所、電話番号を記入する

様式そのものに入院中の記入欄があります。入院中の調査は例外的な扱いではありません。

申請から認定までの全体の流れは、要介護認定とはでまとめています。制度そのものについては介護保険とはをご覧ください。

いつ申請するか

退院が決まってから動くと、退院後にサービスを使えない期間ができることがあります。理由は、認定が出るまでに時間がかかるためです。

  • 申請に対する処分は申請日から30日以内が原則(第27条第11項)。調査に日時を要する場合は、見込み期間と理由が通知されて延びます
  • 認定は申請のあった日にさかのぼって効力を生じます(第27条第8項)

効力が申請日まで戻るので、早めに出しておくことに意味があります。結果が出るのを待ってから申請するのではなく、退院の見通しが立った段階で動くほうが、退院日に間に合いやすくなります。

ただし、「退院の何日前までに申請する」という全国共通の決まりはありません。入院期間や病状、市区町村の処理状況によって変わります。入院先の相談窓口か、市区町村の介護保険の窓口に、実際の見込みを聞いてください。

入院したばかりのときは、取り下げを案内されることがある

申請できるかどうかとは別に、調査が成り立つかどうかという問題があります。

認定調査員テキストには、次のように書かれています。

「入院後間もない等、調査対象者の心身の状態が安定するまでに相当期間を要すると思われ、介護保険によるサービスの利用を見込めない場合は、必要に応じ、申請者に対して、一旦申請を取り下げ、状態が安定してから再度申請を行うよう説明する」

ここで読み取っておきたい点が3つあります。

  • 書かれているのは取り下げの案内であって、「申請できない」ではありません
  • 条件が重なったときの話です ― 入院後間もない、安定するまでに相当期間を要する、サービスの利用を見込めない
  • 「必要に応じ」とあり、必ず行われる手続きではありません

また、同じテキストには、調査当日に状況が一時的に変化していて適切な調査が行えないと判断した場合は、その場では調査をせず、状況が安定してから改めて調査日を設定する、という扱いも書かれています。

なお、「主治医が病状の安定を認めた場合に限り申請できる」という条件は、国の法令や通知に定められているわけではありません。調査が普段の状態を測れるかどうかという、実務上の判断です。

手術の直後や、容体が日ごとに変わっている時期であれば、急がない限り少し待つほうが、結果として実態に合った区分になります。逆に、状態が落ち着いていて退院の見通しがあるなら、入院中に申請して問題ありません。

誰が手続きするか

本人のほか、居宅介護支援事業者や地域包括支援センターが手続きを代わって行えます。施行規則では、この場合に申請書へ「提出代行者」と表示することになっています。

入院中であれば、まず病院の相談窓口に声をかけるのが近道です。医療ソーシャルワーカーがいる地域連携室や相談室が置かれていることが多く、退院後の生活の相談と一緒に、申請の段取りを進めてもらえます。

家族が代わりに窓口へ提出できるかどうかは、市区町村によって扱いが異なります。事前に確認してください。

調査は入院先で受ける

認定調査は、入院している病院で行われます。本人の状態によっては、病院のスタッフからの聞き取りが中心になります。

ここで気をつけたいのが、病院と自宅では環境が違うことです。病院ではベッドの高さや手すりが整っていて、職員がすぐに対応できます。そのため、自宅での生活でどんな介助が必要になるのかが、調査だけでは見えにくくなります。

認定調査員テキストは、その場の様子と日頃の様子が違う場合には聞き取りを行い、具体的な内容を「特記事項」に記載するとしています。この特記事項が、審査会の判断材料になります。

そのため、家族が同席できるかを病院に確認しておくとよいです。入院前の自宅での様子や、退院後に必要になりそうな介助を、具体的に伝えられます。

なお、住まいの環境や家族構成そのものを理由に区分が変わることはありません。テキストにも、置かれている環境等を根拠に二次判定での変更を行うことは認められていないと書かれています。伝えるのは環境ではなく、介助にどれだけ手間がかかるかです。

主治医意見書は誰が書くか

主治医意見書は家族が用意するものではなく、申請書に書いた医師に市区町村から依頼が行きます(第27条第3項)。

入院中は、入院先の医師を主治医として記入することが多くなります。ただし、長年診てもらっているかかりつけ医がいる場合もあります。どちらに書いてもらうかは、病院の相談窓口か市区町村の窓口に相談して決めてください。入院先の医師は現在の状態をよく把握しており、かかりつけ医はそれまでの経過を把握している、という違いがあります。

急いでサービスが必要なとき

末期のがんなど、状態が急に変わる場合については、厚生労働省が迅速な対応を求める事務連絡を出しています(介護保険最新情報 Vol.1266・令和6年5月31日)。

  • 入院している方の認定調査について、保険者の判断で、必要に応じオンラインによる認定調査を実施して差し支えない
  • 認定結果が出る前でも、暫定ケアプランを作成してサービスの提供を開始できる
  • 申請を受けた同日のうちに調査と暫定ケアプランの作成を行い、サービスを開始した自治体の例を「望ましい対応」として示している
  • 主治医意見書について、必要な項目に限定した記載のものを受理しても差し支えない

この事務連絡は、厚生労働省の委託事業による遺族調査(令和4年3月・国立がん研究センター がん対策研究所)を引いています。死亡前6か月間に介護保険を一度も利用しなかった20,807人のうち、4,849人(23.3%)が「申請したが利用できなかった」と答え、そのうち2,413人(49.8%)が「介護認定に必要な調査を受ける前に亡くなった」と回答した、という内容です。

急を要する状況であれば、そのことを市区町村の窓口と病院の相談窓口に伝えてください。手続きを早める方法が制度側に用意されています。

退院後に使えるようにするまで

申請と並行して進めておくことがあります。

  1. 病院の相談窓口に、退院後の生活の相談をする ― 退院前にケアマネジャーや事業所との顔合わせを設定してもらえる場合があります
  2. ケアマネジャーを決める ― 要介護と認定された場合、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作ります
  3. 認定を待たずに始める必要があるか相談する ― 暫定的なケアプランで利用を始める方法がありますが、認定結果によっては自己負担が生じる可能性もあります

退院の日程が動くこともあるので、病院と市区町村の両方に、申請中であることを伝えておくと連絡が取りやすくなります。

まとめ

  1. 入院中でも申請できる。介護保険法に入院を理由とする制限はなく、認定調査票にも病院の記入欄がある
  2. 認定は申請日にさかのぼって効力を持つ。結果は30日以内が原則なので、退院に合わせるなら早めに出す
  3. 入院したばかりで状態が落ち着かない時期は、取り下げて出し直すよう案内されることがある。申請できないという意味ではない
  4. 病院の相談窓口が近道。申請の段取りと退院後の生活を一緒に相談できる
  5. 調査は病院で受ける。自宅とは環境が違うので、普段の介助を具体的に伝える
  6. 急を要するときは申し出る。オンライン調査や暫定ケアプランなど、早める方法が用意されている

介護保険制度や介護報酬は改正されることがあります。このページは2026年10月時点で確認できる法令・厚生労働省資料に基づいています。申請の受付方法や調査の日程調整は市区町村によって異なる部分があるため、手続きの際はお住まいの市区町村の案内もあわせて確認してください。

情報源:介護保険法第27条、介護保険法施行規則第35条、厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版」(令和6年4月改訂)、厚生労働省「介護保険最新情報」Vol.1266(令和6年5月31日・がん等の方に対する速やかな介護サービスの提供について)

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