暮らし・人間関係

夫がお風呂に入らない理由とは?心理と習慣を解説

夫がお風呂に入らない日が続くと、においや衛生面が気になります。ただ、責める形で伝えても関係が悪くなるだけで、習慣は変わりにくいものです。厚生労働省の睡眠ガイドは、就寝の約1〜2時間前に入浴して身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなるとしています。この記事では、入らない理由の切り分け方と、睡眠という切り口からの伝え方、冬に気をつけることをまとめます。

「入らない」にもいくつかの型がある

まとめて「面倒くさがっている」と捉えると、打つ手がなくなります。実際には、止まっている場所が違います。

  • 帰宅時間が遅く、入ると寝る時間が削られる … 時間の問題
  • 帰宅後すぐ横になってしまい、そのまま朝になる … 疲労の問題
  • 脱衣所や浴室が寒い/暑い … 環境の問題
  • 準備から片づけまでの手数が多い … 手順の問題
  • 以前は入っていたのに、ある時期から入らなくなった … 体調や気分の変化の可能性

このうち最後の1つだけは性質が違います。もともとの生活習慣ではなく、途中から変わった場合は、疲れ方や気分の落ち込みが背景にあることがあります。あとで触れます。

入浴は、睡眠の質に関わっている

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月)は、良質な睡眠のための環境づくりの1つとして、次のように書いています。

寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1~2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる
出典:健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省

仕組みも説明されています。体の内部の温度(深部体温)は、日中に上がり、夜間の睡眠時に下がります。就寝前に手足の皮膚の血流が増えて体温が外に放散され、深部体温が下がり始めると、入眠しやすい状態になります。就寝前の入浴は手足の血管を広げるので、この熱の放散を促すと考えられています。

ガイドは、実際の生活の中で行われた研究として、就寝の約1〜2時間前に入浴した場合、しなかった場合に比べて速やかに入眠できたという報告があること、日本の高齢の不眠症患者を対象にした実験でも同じ結果が出ていることを挙げています。

ここが伝え方の手がかりになります。「清潔にしてほしい」ではなく「寝つきが良くなるらしい」という切り口なら、責める形になりません。寝つきの悪さを自覚している人には届きやすい内容です。

熱い風呂に長く、は逆効果になることがある

同じガイドのQ&Aに、こういうやりとりがあります。

Q. 冬はからだが冷えるので、熱い風呂に長く浸かるようにしていますが、問題ないでしょうか?
A. 就寝の約1〜2時間前の入浴は、入浴後の熱放散を促進し、入眠を促す効果が期待できますが、極端に湯温が高いと、交感神経の活動が亢進し、かえって入眠を妨げる可能性もあります。
出典:健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省

「長く熱く浸かるほど良い」ではありません。入るのが億劫な人に長風呂を勧めると、かえってハードルが上がります。短時間でも寝る1〜2時間前に入る、という形のほうが続きやすくなります。

冬は、寒暖差そのものにも注意がいる

ガイドは冬の室温についても触れています。夜中にトイレへ行くときや早朝の起床時に急な寒さにさらされると、血圧が急激に上がり、脳卒中や心筋梗塞の発症につながるおそれがあるとしています。WHOの住環境ガイドラインは、冬の室温を18℃以上に保つことを推奨しています。

入浴そのものを避けている場合も、脱衣所や浴室の寒さが理由になっていることがあります。暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動する段階で面倒になる、という順序です。

  • 脱衣所に小型の暖房を置く
  • 入る前にシャワーを出して浴室を温めておく

環境の問題であれば、本人の気持ちに働きかけるより、設備を変えるほうが早く解決します。「入りたくない」ではなく「入るまでが寒い」なら、対処する場所が違います。

寝室の環境も一緒に見ておく

睡眠ガイドは、入浴以外の環境についても同じ節でまとめています。入浴を勧めるついでに、こちらも整えておくと効果が分かりやすくなります。

  • 日中にできるだけ日光を浴びる(体内時計が調節され、入眠しやすくなる)
  • 寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まない(できるだけ暗くして寝る)
  • できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠る

ガイドによると、就寝の約2時間前から睡眠を促すホルモン(メラトニン)の分泌が始まります。それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると分泌が抑えられ、入眠が妨げられることが報告されています。入浴後も強い光を長く浴びると、入眠しやすい環境づくりとは逆方向に働く可能性があります。

夏は室温にも注意が要ります。ガイドは、夏に寝室の室温が上がると睡眠時間が短くなり睡眠効率が下がる、という調査を挙げていて、エアコンで涼しく保つことが重要としています。逆に冬の寒さについては、寝具で寝床の中が暖かく保たれていれば睡眠への影響は少ないと考えられる、とあります。

手数を減らす

準備と片づけの手数が多いと、疲れている日ほど後回しになります。減らせるところを探してみてください。

  • 着替えを脱衣所にまとめて置いておく(探す手間がなくなります)
  • 浴室の掃除の分担を見直す(入った人が洗う形だと、入ること自体が重くなります)
  • 湯を張らずシャワーで済ませる日を認める(「毎日湯船」を前提にしない)
  • 入る時間を決めておく(帰宅後すぐか、食事の前か。決まっていないと後ろにずれます)

横になってしまってから起きるのは難しいので、座る前に入る順番にできるかどうかが分かれ目になります。帰宅後の動線に入浴が組み込まれていれば、意志の力に頼らずに済みます。

毎日でなくてよい、という前提にしておくことも効きます。週に何日かでも入る日が固定されれば、まったく入らない状態からは変わります。完璧な形を目標にすると、達成できない日が続いたときに全部やめてしまいます。

伝え方

毎日言うと、話題そのものが緊張を生みます。回数を減らして、内容を変えるほうが動きます。

  • においや不快感を指摘の形で言わない(人格の話に受け取られると、防御に回ります)
  • 事実と希望を分けて、1回だけ言う(「寝る前に入ると寝つきが良くなるらしい。試してみない?」)
  • 相手の事情を先に聞く(時間なのか、寒さなのか、疲れなのかで対処が違います)
  • 入った日に反応する(何も言わないより、短く一言あるほうが続きます)
  • 第三者の前で話題にしない(家族や友人がいる場で言うと、指摘ではなく攻撃として受け取られます)

子どもがいる場合は、一緒に入る形にすると理由づけがしやすくなります。ただしそれを「協力しない」の代わりの指摘に使うと逆効果になります。

途中から入らなくなった場合

以前は毎日入っていたのに、ある時期から入らなくなった場合は、生活習慣の話ではない可能性があります。

  • 入浴だけでなく、食事や着替え、外出も億劫になっている
  • 眠れない、または寝すぎている
  • 仕事や趣味への関心が落ちている
  • そうした状態が2週間以上続いている

厚生労働省は、気分の落ち込みや、楽しみや喜びを感じないといった症状が2週間以上続くことで、従来の社会生活が困難になる状態をうつ病と説明しています。複数当てはまる状態が続いているなら、入浴の習慣を直そうとするより、体調の面から見たほうがよい場面です。本人が受診しにくい場合、家族が地域の保健センターや、厚生労働省の相談窓口に先に相談することもできます。

この見極めは大切です。理由が体調にあるときに習慣の話として押すと、相手をさらに追い込むことになります。

まとめ

  1. 理由を切り分ける。時間・疲労・環境・手数・体調の変化で、打つ手が変わる
  2. 清潔さではなく睡眠を切り口にする。睡眠ガイドは就寝の約1〜2時間前の入浴で入眠しやすくなるとしている
  3. 長く熱く、は勧めない。極端に湯温が高いと交感神経が働いて、かえって入眠を妨げる可能性がある
  4. 寒さが理由なら設備を変える。脱衣所の暖房や浴室を温める工夫のほうが早い。冬の室温はWHOが18℃以上を推奨
  5. 途中から入らなくなり、他のことも億劫な状態が2週間以上続くなら体調を先に。習慣の話として押さない

情報源:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会・2024年2月)「良質な睡眠のための環境づくりについて」および同Q&A、WHO住環境ガイドライン(同ガイド内で引用)、厚生労働省「こころの耳」うつ病の主な症状と原因

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