お年玉を渡すかどうかで迷うのは、金額だけの問題ではありません。親族の間で前例ができると、次の年からも続きます。この記事では、渡さないという選択の考え方、代わりにできること、親族との事前のすり合わせ方をまとめます。あわせて、お年玉と贈与税の関係についても、国税庁の説明をもとに整理します。
渡すかどうかは、決まりごとではない
お年玉は慣習であって、渡す義務があるものではありません。ただ、親族の集まりでは「去年どうしたか」が基準になりやすく、一度始めると変えにくくなります。
迷っている理由を分けてみてください。
- 金額の負担(人数が多い、毎年続く、金額が上がっていく)
- 基準が分からない(年齢ごとにいくらか、他の親族といくら差をつけるか)
- 受け取る側との関係(会う頻度が少ない、こちらの子どもには渡されていない)
- 方針の違い(現金を渡すこと自体を、相手の親が望んでいない場合もあります)
このうち4つ目は、先に確認すれば解決することがあります。渡す側だけで悩んでいて、実は相手の親も同じことを考えている、という場合があります。
先に決めておくと、毎年悩まない
その年ごとに考えると、結局前例に従うことになります。方針を決めておくほうが続けやすくなります。
- 渡す範囲を決める(甥・姪まで、同居の親族まで、など)
- 年齢の区切りを決める(小学生まで、高校卒業まで、成人まで)
- 金額の基準を決める(学年で変える、一律にする)
- 渡さない場合の代わりを決める(後述)
決めたことは、年末になる前に相手の親へ伝えておくほうが角が立ちません。当日に「今年は渡さない」と言うと、その場で調整することになります。
現金以外の選択肢
渡さないと決めた場合も、まったく何もしないという形以外に選択肢があります。
- 本人が使うものを贈る(文房具、本、衣類。年齢が上がるほど好みが分かれるので、事前に聞くほうが確実です)
- 体験に使えるもの(施設の入場券、書籍の商品券など)
- 一緒に過ごす時間を作る(出かける、食事をする)
- 手紙やメッセージを添える(毎年続けると、それ自体が形になります)
物を贈る場合も、金額が現金と変わらなければ、負担は同じです。負担を減らすことが目的なら、その点は最初に整理しておいてください。
年齢によっても向き不向きがあります。小さいうちは物や体験で成立しやすい一方、中学生以降は自分で選びたい時期に入ります。「毎年同じ形にする」より、年齢で切り替える前提にしておくほうが、あとで変えやすくなります。
金額が大きい場合の注意
お年玉そのものに税金がかかるかどうかは、金額によります。国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」は、贈与税がかからない財産として次を挙げています。
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
出典:No.4405 贈与税がかからない場合|国税庁
お年玉などの年末年始の贈答でも、非課税になるのは「社会通念上相当と認められるもの」です。国税庁は一律の金額基準を示していないため、金額だけで判断できるものではありません。
贈与税は、国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」によると、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から、暦年課税に係る基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
つまり判断の単位は「1人の子どもが1年間に受け取った合計額」です。祖父母や複数の親族から受け取る分も合算されます。金額が大きくなりそうな場合は、税務署に確認してください。
親族の間で差が出るとき
兄弟姉妹の間で子どもの人数が違う場合、渡す額と受け取る額に差が出ます。この差を放置すると、翌年以降に持ち越されます。
- 差があること自体は先に共有しておく(あとから調整しようとすると、金額の話が前に出ます)
- やめるなら双方でやめる(片方だけがやめると、受け取る側が気にします)
- 子どもの人数ではなく、1人あたりで考える形もある
金額を合わせようとするほど、計算が複雑になります。「そろえない」と決めておくのも1つの方法です。そのうえで、全体をやめる時期を決めておくと、毎年の判断が要らなくなります。
受け取った側の管理
渡す側の話とは別に、受け取った子どもの側でも決めておくことがあります。
- 誰が管理するか(本人か、親が預かるか)
- 使ってよい範囲(全額使ってよいか、一部を残すか)
- 記録するか(誰からいくら受け取ったか。お礼を伝えるときに必要になります)
親が預かる形にする場合、子ども名義の口座に入れるか、親の口座で管理するかで扱いが変わります。子ども名義の口座に入れていても、実質的に親が管理している状態が続くと、後から名義の問題になることがあります。まとまった金額になる場合は、この点も確認しておいてください。
お礼の伝え方
渡した側としては、届いたかどうかが分からないと次の年の判断がしにくくなります。受け取った側も、伝える形を決めておくと楽です。
- その場で本人から伝える
- 後日、親から連絡する
- 子どもが書いた手紙やメッセージを送る
金額の多い少ないに触れる必要はありません。受け取ったことが伝わればよいという前提にしておくと、双方とも構えずに済みます。
まとめ
- お年玉は慣習で、渡す義務はない。ただし前例ができると変えにくいので、方針を先に決める
- 年末になる前に相手の親へ伝える。当日に言うと、その場の調整になる
- 現金以外の選択肢もある。ただし金額が同じなら負担は変わらない
- 「年末年始の贈答」で社会通念上相当と認められるものは贈与税がかからない。一律の金額基準は示されていない。贈与税の判断の単位は1人が1年間に受け取った合計額で、基礎控除額は110万円
- 受け取った側の管理方法も決めておく。子ども名義の口座を親が管理し続ける場合は、扱いを確認する
情報源:国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」、国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」(いずれも令和8年4月1日現在法令等)
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