自信を取り戻したいときに、気持ちの持ち方から変えようとすると行き詰まります。先に整えやすいのは、睡眠・食事・相談相手といった土台の部分です。厚生労働省の調査では、仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスがある労働者は68.3%、一方で相談できる人がいる労働者は94.6%でした。この記事では、セルフケアが何を指すのか、何から手をつけるか、続ける形の作り方をまとめます。
セルフケアは、気持ちを前向きにすることではない
厚生労働省の「こころの耳」は、ストレスをストレッサー(原因になる出来事)とストレス反応に分けて説明しています。出来事があり、それに対して心理面・身体面・行動面に反応が出る、という順序です。そして、ストレッサーを解決したり、悪影響を和らげたりするための工夫をコーピング(対処)と呼んでいます。
つまりセルフケアは、気分を明るくすることではなく、出来事と自分の反応に対して、できる手当てをすることを指します。前向きになれない状態でも実行できる部分があります。
同じサイトは、対処能力を上回るストレッサーを経験したり、ストレッサーが長く続いたりすると反応が慢性化し、活気が低下してくる、と説明しています。自信が持てない状態が続いているとき、原因が性格ではなく状況の側にあることがあります。
いまの負荷を書き出す
厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスとなっている事柄がある労働者は68.3%でした。内容として多いのは次の3つです(主なもの3つ以内)。
| 強いストレスの内容 | 割合 |
|---|---|
| 仕事の量 | 43.2% |
| 仕事の失敗、責任の発生等 | 36.2% |
| 仕事の質 | 26.4% |
年齢別では30歳代73.3%、40歳代73.0%で高くなっています。令和5年は82.7%でしたが、設問の形式を変えているため前年との単純な比較はできないと調査自体が注記しています。
自分の場合は何が当てはまるかを、紙に書き出してみてください。量なのか、責任なのか、人との関係なのか。「なんとなく自信がない」の中身が特定できると、手当てする場所が決まります。
睡眠を先に確保する
厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」によると、ここ1か月で睡眠で休養がとれている人は74.9%で、平成21年からの推移では有意に減っています。1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は男性38.5%・女性43.6%で、男性の30〜50歳代、女性の40〜60歳代では4割を超えています。
睡眠は、気持ちの問題より先に整えやすい部分です。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、良質な睡眠のための環境づくりとして次を挙げています。
- 日中にできるだけ日光を浴びる(体内時計が調節され、入眠しやすくなる)
- 就寝の約1〜2時間前に入浴し、身体を温めてから寝床に入る
- 寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして寝る
- できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠る
ガイドによると、就寝の約2時間前から睡眠を促すホルモン(メラトニン)の分泌が始まります。それ以降に強い光を浴びると分泌が抑えられ、入眠が妨げられることが報告されています。
食事は「そろっているか」で見る
同じ国民健康・栄養調査では、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上とっている人は男性45.7%・女性47.1%でした。20歳代では男性27.8%・女性28.6%まで下がります。
野菜の摂取量は平均256.0g(男性262.2g、女性250.6g)で、この10年で男性は有意に減少しています。20歳代がもっとも少なく、男性230.9g・女性211.8gです。
細かい栄養計算より、主食・主菜・副菜がそろっている回数を数えるほうが、実行しやすく確認もしやすい形です。1日3食すべてを整えようとせず、1食だけ決めるところから始められます。
相談先を実際に使う
労働安全衛生調査では、ストレスについて相談できる人がいる労働者は94.6%でした。相談できる相手は「家族・友人」68.6%、「上司」65.7%の順です。
ただし、実際に相談したことがある人は、相談できる人がいる労働者のうち74.7%にとどまります。男女別では男性69.4%、女性80.5%です。
相手がいることと、実際に話すことは別だという数字です。「話せる人はいる」で止まっている状態なら、そこが動かせる部分になります。男性は「上司」(62.5%)、女性は「家族・友人」(64.9%)に相談する人が多いという結果も出ています。
続ける形にする
「毎日続ける」を前提にすると、できなかった日に全部やめてしまいます。
- 数を減らす(3つ始めるより1つに絞る)
- すでにある習慣にくっつける(歯を磨いた後に、など。新しい時間を作らない)
- できた日を記録する(評価をつけず、やった日に印をつけるだけにする)
- できなかった日を数えない(連続記録が切れた時点でやめる形にしない)
自信は、何かを続けた結果として後からついてくる部分があります。先に自信を作ろうとするより、実行できる小さい単位を決めるほうが手をつけやすくなります。
状態が続くときは
厚生労働省は、気分の落ち込みや睡眠の問題などの症状が2週間以上続く場合には「うつ」が疑われるとして、専門家(精神科、心療内科)に早めに相談することをすすめています。
眠れない、食べられない、仕事や家事が手につかないといった状態が続いているなら、セルフケアの工夫の範囲を超えています。その場合は、そちらを先に扱う場面です。
まとめ
- セルフケアは前向きになることではない。出来事(ストレッサー)と自分の反応に手当てをすること
- 負荷の中身を書き出す。強いストレスがある労働者は68.3%で、内容は仕事の量43.2%が最多
- 睡眠を先に確保する。睡眠で休養がとれている人は74.9%で減少傾向。6時間未満が男性38.5%・女性43.6%
- 食事は主食・主菜・副菜がそろった回数で見る。1日2回以上そろっている人は男性45.7%・女性47.1%
- 相談先は「いる」で止めない。相談できる人がいるのは94.6%だが、実際に相談した人は74.7%
情報源:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人調査第17表・第18表・第19表、厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」、厚生労働省「こころの耳」ストレス軽減ノウハウ
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