ショートステイを連続して利用できるのは30日までです。正確には、31日目からは介護保険の給付の対象外になり、その日の費用は全額自己負担になります。泊まること自体が禁止されるわけではありません。この記事では、31日目以降の扱いと、「1日空ければ数え直せる」と考えるのが危険な理由、長期間必要になったときに相談することをまとめます。
連続30日を超えた日は、介護保険の対象外になる
短期入所生活介護(ショートステイ)には、連続して利用できるのは30日までという決まりがあります。
ここで押さえておきたいのは、「31日目は利用できない」のではなく「31日目は介護保険で払えない」ということです。施設が受け入れる限り泊まることはできますが、その日の食費や居住費を含めた費用は、保険を使わずに支払うことになります。介護保険の自己負担の仕組みは介護保険とはでまとめています。
この扱いは、状況が変わっても同じです。国の事務連絡(介護保険最新情報 vol.116)では、次の場合が示されています。
- 2つの要介護認定の期間をまたがって利用した場合 ― 30日を超えて算定できない
- 利用の途中で引っ越しなどにより保険者(市区町村)が変わった場合 ― 30日を超えて算定できない
認定が更新されたから数え直せる、市区町村が変わったから数え直せる、ということにはなりません。
「1日空ければリセット」と考えるのは危険
よく見かけるのが「31日目だけ自費にすれば、32日目から数え直せる」という説明です。これは請求の手続きとしては行われている方法ですが、すべての場合に当てはまるわけではありません。
国の事務連絡は、連続とみなされる場合をいくつか示しています。
- 退所した翌日に同じ事業所へ入所した場合 ― 連続して入所しているものとして扱う
- 区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になった日がある場合 ― 通算して連続した利用とみなす
限度額を超えて自己負担した日は、保険を使っていないのに、連続の計算には入るということです。「保険を使わなかった日は数えない」という単純な理解は成り立ちません。
家族側と事業所側で、見ているものが違う
もう一つ、分かりにくくしている事情があります。利用者から見た30日の数え方と、事業所が受け取る報酬の扱いが、別の話として動いていることです。
平成27年度の介護報酬改定に関するQ&A(介護保険最新情報 vol.454)に、まさにこの質問が載っています。
同じ事業所を30日利用し、1日だけ自宅や自費で過ごしてから再び同じ事業所を利用した場合、事業所への減算の対象から外れるのか、という問いです。回答は、報酬請求が連続している場合は連続して入所しているものと扱われるため、30日を超えた日以降は減算の対象になるという内容でした。
つまり、1日空けても事業所側の扱いは変わらないことがあります。家族が「自費で1日挟めば続けられる」と考えていても、事業所の側では条件が変わるため、同じようには進まない場合があります。
長期の利用を考えているなら、自分で判断せず、ケアマネジャーと事業所の両方に確認してください。
ショートステイは、長期に住み続けることを前提としたサービスではない
この前提を知っておくと、事業所の対応が理解しやすくなります。
同じQ&Aには、やむを得ない理由がある場合の扱いも示されています。在宅での生活を続けるのが難しく、特別養護老人ホームへの入所を申し込んでいるが空きがない、といった事情で利用が続いている場合です。
回答は、理由の如何を問わず減算の対象となるという内容でした。事情があっても扱いは変わりません。
さらに令和6年度の介護報酬改定で、長期利用の適正化という仕組みが設けられました。自宅に戻ることなく自費利用を挟んで同じ事業所を長く利用し続ける場合、一定の日数を超えると、事業所が受け取る報酬が施設に入所した場合と同じ扱いに変わります。
ショートステイは、在宅での生活を続けるために一時的に預かる仕組みです。長くにわたって住み続けることを前提としたサービスではありません。相談したときに事業所が難色を示すことがあるのは、この仕組みが背景にあります。
ケアプラン上の「おおむね半数」という目安
30日とは別に、もう一つの目安があります。ケアマネジャーに課されている基準です。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準は、ケアプランにショートステイを位置づける場合について、「利用者の心身の状況等を勘案して特に必要と認められる場合を除き、短期入所生活介護及び短期入所療養介護を利用する日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない」と定めています。
認定の有効期間が6か月なら、その半分にあたる日数が目安になります。
ただし、この基準には2つの注意点があります。
- 「特に必要と認められる場合を除き」という例外がある ― 状況によっては半数を超えることもあります
- 連続30日を超えて保険の対象外になった日は、この半数の計算には含めません(国の事務連絡で示されています)
この基準は利用者を縛るものではなく、ケアプランを作るときの考え方として定められています。条文も、まず「利用者の居宅における自立した日常生活の維持に十分に留意する」と書いたうえで、半数の目安を示す形になっています。
長期間必要なときに相談すること
介護する側が限界に近いときや、自宅での生活が難しくなってきたときは、ショートステイを延ばす方向ではなく、別の方法を一緒に考えることになります。
- ケアマネジャーに、いまの状況をそのまま伝える ― 何日くらい必要なのか、なぜ必要なのかを具体的に話します。延長できるかどうかではなく、どう組み立てるかの相談にします
- 施設への入所を検討する ― 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などです。申し込みから入所までは時間がかかるので、必要になりそうな段階で動き始めます
- 他のサービスと組み合わせる ― 訪問介護、デイサービス、小規模多機能型居宅介護など、泊まりと通いと訪問を組み合わせられるサービスもあります
- 地域包括支援センターにも相談する ― ケアマネジャーとは別の立場で、地域の事情を含めて相談に乗ってもらえます
「30日を超えそうだから、どうすればいいか」ではなく、「この先どのくらいの介護が続きそうか」から相談するほうが、結果として選べる方法が増えます。
まとめ
- 31日目からは介護保険の給付の対象外になり、その日の費用は全額自己負担。泊まること自体が禁止されるわけではない
- 認定の期間をまたいでも、市区町村が変わっても、この扱いは変わらない。
- 「1日空ければ数え直せる」は、場合による。退所した翌日に同じ事業所へ入所した場合や、限度額を超えて自己負担した日がある場合は、連続とみなされる
- 事業所側の扱いは、1日空けても変わらないことがある。自分で判断せず、ケアマネジャーと事業所の両方に確認する
- ショートステイは、長期に住み続ける前提のサービスではない。やむを得ない事情があっても、事業所の報酬が下がる仕組みになっている
- 長期間必要なら、延長ではなく別の方法を相談する。施設への入所、他のサービスとの組み合わせを早めに検討する
介護保険制度や介護報酬は改正されることがあります。このページは2026年10月時点で確認できる法令・厚生労働省資料に基づいています。利用日数の具体的な扱いは本人の状況や事業所によって異なるため、ケアマネジャーやお住まいの市区町村にも確認してください。
情報源:厚生労働省「介護保険最新情報」Vol.116(平成13年8月29日事務連絡)、同Vol.454(平成27年度介護報酬改定に関するQ&A)、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条、厚生労働省「介護報酬の算定構造」(令和8年6月改定箇所)