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訪問介護でできること・できないこと|通知に書かれている線引き

訪問介護でできること・できないこと|通知に書かれている線引き

訪問介護で頼めるのは、本人の生活に必要な範囲です。家族の分の食事や、本人が使わない部屋の掃除は対象になりません。この線引きは、国が通知で具体的に示しています。この記事では、その原文をもとに、できること・できないこととされていること、迷いやすい例、断られたときの選択肢をまとめます。

できること

家事を代わりに行う生活援助について、厚生労働省の通知(老計第10号)は内容を6つに分けています。これが生活援助の全部です。

区分 内容
掃除 居室内やトイレ、卓上等の清掃/ゴミ出し/準備・後片づけ
洗濯 洗濯機または手洗い/干す/取り入れと収納/アイロンがけ
ベッドメイク 利用者が不在のベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換
衣類の整理・被服の補修 夏物・冬物の入れ替え/ボタン付け、破れの補修
一般的な調理、配下膳 一般的な調理/配膳、後片づけ
買い物・薬の受け取り 日用品等の買い物(品物・釣り銭の確認を含む)/薬の受け取り

このほかに、体に直接ふれて行う身体介護があります。食事やトイレ、入浴の介助などで、こちらは生活援助とは別の扱いになります。サービスの種類や費用は訪問介護とはでまとめています。

できないとされていること

介護保険の対象にならないとされている行為は、平成12年11月16日の通知(老振第76号)の別紙に列挙されています。よく見かける「草むしりは頼めない」「ペットの世話は頼めない」という説明は、この通知が元になっています。

通知は、これらを「一般的に介護保険の家事援助の範囲に含まれないと考えられる事例」として示しています。当時は「家事援助」という名称で、現在の生活援助にあたります。

1. 「直接本人の援助」に該当しない行為

主として家族の利便に供する行為、または家族が行うことが適当であると判断される行為として、次が挙げられています。

  • 利用者以外のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し
  • 主として利用者が使用する居室等以外の掃除
  • 来客の応接(お茶、食事の手配等)
  • 自家用車の洗車・清掃等

2. 「日常生活の援助」に該当しない行為

こちらはさらに2つに分かれています。まず、訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為です。

  • 草むしり
  • 花木の水やり
  • 犬の散歩等ペットの世話等

もう一つは、日常的に行われる家事の範囲を超える行為です。

  • 家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え
  • 大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ
  • 室内外家屋の修理、ペンキ塗り
  • 植木の剪定等の園芸
  • 正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理等

この別紙は平成12年から変わっていません。25年以上前の例示が、いまも基準として使われています。

分かれ目は3つ

一覧を覚えるより、何が分かれ目になっているかをつかむほうが応用がききます。上の別紙は、3つの考え方で整理されています。

  • 本人のためのものか ― 家族の分の洗濯や食事、本人が使わない部屋の掃除などは対象外になります
  • やらないと本人の日常生活に支障が出るか ― 草むしり、花木の水やり、ペットの世話は、一般にここで外れます
  • 日常的な家事の範囲か ― 大掃除、家具の移動、ペンキ塗り、おせちなど特別な手間をかける調理は、日常の家事の範囲を超えるとされています

1つ目が通知の「直接本人の援助」に該当しない行為にあたり、2つ目と3つ目が「日常生活の援助」に該当しない行為の中身です。一覧に載っていない場面で迷ったときは、この3つに当てはめてみると見当がつきます。

迷いやすい例

よく質問される場面を、通知の整理にあてはめると次のようになります。

頼みたいこと 通知での扱い
本人の居室やトイレの掃除 生活援助に含まれる
家族の部屋や、本人が使わない場所の掃除 対象外とされている
本人の分の調理 生活援助に含まれる
家族の分も一緒に作る 対象外とされている
本人の日用品の買い物 生活援助に含まれる
家族の分の買い物 対象外とされている
庭の草むしり、植木の手入れ 対象外とされている
犬の散歩、ペットの世話 対象外とされている
年末の大掃除、窓ガラス磨き 対象外とされている
来客へのお茶出し 対象外とされている
おせちなど、特別な手間をかける料理 対象外とされている
本人と一緒に買い物に行き、本人が品物を選べるよう援助する 身体介護として示されている

最後の行は見落とされがちです。本人の代わりに買ってくるのは生活援助ですが、本人と一緒に店へ行って選んでもらうのは身体介護として扱われます。掃除や洗濯も、本人と一緒に行う形であれば同じです。

同居している家族がいる場合

同居家族がいると生活援助は使えない、と説明されることがありますが、これは正確ではありません。

国は平成21年に通知を出し、同居家族等がいることのみを判断基準として、一律機械的にサービスの支給の可否を決定することがないよう、市町村に周知するよう求めています。この通知には、利用者向けの案内も付いています。

そこでは、家族が障害や疾病でなくても対象になりうる例として、次が挙げられています。

  • 家族が高齢で筋力が低下していて、行うのが難しい家事がある場合
  • 家族が介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起きてしまうおそれがある場合
  • 家族が仕事で不在の時に、行わなくては日常生活に支障がある場合

そのうえで「利用者に同居家族がいるということだけで一律に生活援助が利用できないわけではありません」と書かれています。家族の状況を含めて、ケアマネジャーに相談してください。

医療行為はどこまで

訪問介護員は医療行為を行えませんが、どこからが医療行為かについては、国が整理した一覧があります(平成17年7月26日・医政発第0726005号)。原則として医行為ではないとされているものには、次が含まれます。

  • 体温の計測(わきの下、耳式の体温計)
  • 自動血圧測定器による血圧測定
  • 軽い切り傷・擦り傷・やけどの、専門的な判断や技術を必要としない処置
  • 一定の条件を満たす場合の、軟膏の塗布、湿布の貼付、点眼、一包化された内服薬の介助、坐薬の挿入
  • 爪切りと爪やすり、日常的な口腔内の清拭、耳垢の除去 など

ただし、無条件にできるわけではありません。薬の介助は、医師か看護職員が「容態が安定している」「連続的な経過観察が必要な状態ではない」といった条件を確認していることが前提です。

爪切りについても、通知は「爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合」と条件を付けています。

さらに通知自身が、病状が不安定であることなどにより専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もありうるとしています。本人の状態によって扱いが変わるので、事業所と相談して決めることになります。

判断は誰がするのか

一覧に書かれていない行為や、どちらとも言いにくい場面は実際にあります。

老振第76号は、求められた内容が給付の対象として適当かどうか判断がつかない場合には、保険者(市町村)に確認を求めることとしています。訪問介護員の説明で理解が得られない場合は、サービス提供責任者が対応するという手順も書かれています。

つまり、最終的な判断をするのは市区町村です。実務ではケアマネジャーが間に立ち、ケアプランに位置づけられるかどうかを確認します。

一覧は「一般的に含まれないと考えられる事例」という書き方になっていて、個別の事情を見る余地が残されています。「絶対にできない」と決めつけず、まず事情を伝えて相談するのが実際的です。

どうしても必要なときの選択肢

介護保険では頼めないとなった場合でも、方法がなくなるわけではありません。老振第76号は、断ったあとの案内まで書いています。

  1. 市区町村の生活支援サービスを使う ― 通知は、市町村が実施する軽度生活援助事業や配食サービス等の活用を助言することとしています
  2. 地域の支え合いの仕組みを使う ― 特定非営利活動法人(NPO法人)などの住民参加型福祉サービス、ボランティアの活用も挙げられています
  3. 自己負担のサービスとして頼む ― 通知は、保険給付の範囲外のサービスについて、利用者と事業者の契約に基づき、保険給付対象サービスと明確に区分したうえで、利用者の自己負担によってサービスを提供することは当然可能であるとしています

通知もこの順で書かれています。まず市区町村の窓口やケアマネジャーに、保険外で使える地域の仕組みがないかを聞いてください。

同じ事業所が保険外サービスを用意している場合もあります。断られて終わりにせず、「ではどこに頼めばよいか」まで聞いてください。通知もその案内を求めています。

まとめ

  1. 分かれ目は3つ。本人のためのものか/やらないと生活に支障が出るか/日常の家事の範囲か
  2. 生活援助は6つ。掃除・洗濯・ベッドメイク・衣類の整理・調理・買い物
  3. 草むしり、ペットの世話、大掃除、来客の応接、おせちは対象外とされている。平成12年の通知の別紙に列挙されていて、いまも変わっていない
  4. 本人と一緒に行う買い物や掃除は、一定の条件を満たせば身体介護として位置づけられる。代わりにやるか、一緒にやるかで扱いが変わる
  5. 同居家族がいることだけを理由に、一律に断ることはできない。国が市町村に周知を求めている
  6. 断られたら、市区町村の事業、NPOやボランティア、自費のサービスという行き先がある。

介護保険制度や介護報酬は改正されることがあります。このページは2026年10月時点で確認できる法令・厚生労働省資料に基づいています。個別の行為が対象になるかどうかは、本人の状況をふまえて市区町村やケアマネジャーが判断するため、お住まいの市区町村の案内もあわせて確認してください。

情報源:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計第10号)、厚生労働省「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成12年11月16日老振第76号)別紙、厚生労働省「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」(平成21年12月25日老振発1224第1号)、厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(平成17年7月26日医政発第0726005号)

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