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デジタル遺品とは?親のスマホが開けないと家族が困る理由

デジタル遺品とは?親のスマホが開けないと家族が困る理由

親が亡くなった後、スマホのロックを開けようと携帯ショップに駆け込む——でも答えはこうです。「ロックの解除はできません。初期化ならできますが」。これが「デジタル遺品」と呼ばれる新しい相続問題です。国民生活センターは令和6年11月、相談増加を受けて公式に注意喚起を発表しました。この記事では、デジタル遺品とは何か、何が起こるのか、家族が今すぐできる備えを解説します。

1. デジタル遺品とは?

「デジタル遺品」とは、故人がスマホ・パソコン・インターネット上に残した資産やデータのことを指します。国民生活センターは、おおむね次のようなものを含むと整理しています。

  • ネット銀行の預金:店舗を持たない銀行の口座残高
  • コード決済サービスの残高:〇〇ペイ等の電子マネー
  • サブスクリプション(月額制サービス):動画・音楽・アプリ等
  • SNSアカウント:Facebook・Instagram・X(旧Twitter)等
  • クラウドの写真・動画:スマホで撮ったデータ
  • メールアカウント:契約情報が集まる入口

これらは目に見える「物」ではないため、遺族が存在に気付かなかったり、気付いても手続きできなかったりするのが特徴です。

2. なぜ家族はスマホを開けられないのか

多くの方が誤解していますが、携帯電話会社の店舗でも、家族でも、スマホのロックを解除することはできません

亡くなった兄は、生前にネット銀行で口座を開設していたようだ。契約先を確認するために、携帯電話会社の店舗でスマホの画面ロックを解除してほしいと依頼したが、「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われた。これではデジタル遺品の確認ができない。
出典:国民生活センター(2024年2月受付・60代男性)

これは携帯会社の意地悪ではなく、セキュリティの仕組み上、できないようになっているのです。スマホのロック解除はAppleやGoogleなどのスマホ提供会社が管理しており、携帯会社の権限の外。専門業者に高額な料金を払っても解除できないケースがほとんどです。

3. 実際に起きている4つのトラブル

国民生活センターには、デジタル遺品をめぐる相談が多数寄せられています。代表的な4パターンを紹介します。

トラブル1:ネット銀行の口座が確認できない

「ネット銀行に口座があったらしい」と分かっても、スマホが開けないとどの銀行と契約しているのかすら確認できません。通帳もキャッシュカードも発行されないネット銀行の場合、家族が完全に取り残されることになります。

トラブル2:サブスクが死後も課金され続ける

動画配信や音楽サービスの月額課金は、解約しない限り引き落としが続きます。クレジットカードを止めれば引き落としは止まりますが、契約自体は残るため、登録住所に督促状が届くこともあります。

夫が亡くなり、携帯電話を解約した。最近、クレジットカードの利用明細書に、約1,000円の不明な請求が続いていることに気付いた。何の契約か分からず、解約手続きができない。
出典:国民生活センター

トラブル3:コード決済の残高が引き出せない

〇〇ペイなどのコード決済サービスに数万円の残高があっても、相続の手続きには戸籍謄本など多くの書類が必要です。手続きに1か月以上かかった事例もあります。

弟が突然亡くなった。以前、「コード決済サービスに数万円入金したが使っていない」と聞いていた。指示に従って必要書類を送付しているが、1か月たっても残高がいくらあるのかも回答がなく、何度尋ねてもお待ちくださいとしか回答がない
出典:国民生活センター

トラブル4:SNSが乗っ取られて詐欺に使われる

SNSのアカウントを放置すると、第三者に乗っ取られて「亡くなった親」の名前で詐欺メッセージが友人に送られる事例があります。家族の知らないところで知人が被害に巻き込まれる可能性もあります。

4. スマホを開けないと相続そのものが進まない

国民生活センターによると、スマホやパソコンには契約情報のメールやアプリが集約されているため、これが開けないと相続手続き全体が大幅に遅れます。

従来、相続では預金通帳・保険証券・登記簿などの「紙の書類」が手がかりでしたが、現代では「契約のすべてがスマホの中」という人が増えています。スマホ利用率は60代で78.3%、70代でも49.4%(国民生活センター資料)に達しており、デジタル遺品問題は他人事ではありません。

5. 家族が今すぐできる「デジタル終活」

国民生活センターは、相談増加を受けて「デジタル終活」を推奨しています。難しいことは必要ありません。最低限やっておくべきことは、たった1つです。

最重要の対策:「スマホのスペアキー」を作る

国民生活センターが推奨している方法が、「スマホのスペアキー」です。手順はこうです。

  1. 名刺サイズの紙に、スマホのパスコード(暗証番号)を書く
  2. パスワード部分に修正テープを2〜3回重ね貼りして隠す
  3. 通帳や財布など、家族がもしものとき見つけられる場所に保管
  4. 家族には「もしもの時はあの場所を見て」とだけ伝えておく

修正テープ部分はコインで削れば見られる仕組み。誰かに勝手に見られた形跡があれば、すぐパスワードを変更すればOKです。生前のプライバシーを守りながら、もしもの時には家族が確認できる、よくできた仕組みです。

あわせて準備したいこと

  • 使っているサービス名のリスト:ネット銀行・コード決済・サブスクなどの名前を紙に書く(IDやパスワードまで書く必要はない)
  • 毎月の引き落としの整理:クレジットカード明細を確認して、何が引き落とされているか把握する
  • エンディングノートの活用:書店で売っている終活ノートに記入する

毎月数百円〜数千円の支払いも、見過ごすと年間数万円の損になります。元気なうちに整理しておくのが、家族のためにも自分のためにもなります。

6. 親に伝えるときのコツ

「デジタル終活」という言葉を聞くと、親世代は身構えてしまうかもしれません。話を切り出すときのコツがあります。

  • 「縁起でもない」を避ける:「最近、国民生活センターが注意喚起してたんだけど」と公的な情報を切り口にする
  • 「自分のため」と伝える:「もしもの時、私たちが困らないように」とお願いする形にする
  • 負担をかけない:「サービス名だけ紙に書いて、引き出しに入れておいて」と最小の手間で頼む
  • 一緒にやる:帰省したときに、親と一緒にスペアキー作りを手伝う

まとめ:覚えておきたい3つのポイント

  • スマホのロックは携帯会社でも家族でも開けられない(初期化以外できない)
  • ネット銀行・サブスク・SNS・コード決済など、気づかないと家族が困る「デジタル遺品」が増えている(国民生活センター令和6年11月公式注意喚起)
  • 対策はシンプル。「スマホのスペアキー」(名刺サイズの紙+修正テープ)を作って、家族が見つけられる場所に保管するだけ

デジタル遺品は、これからますます増える新しい相続問題です。元気なうちに準備しておけば、残された家族の負担を大きく減らせます。完璧でなくていい、最初の一歩は「サービス名を紙に書く」だけで十分です。

さらに一歩進んで対策したい人は、AppleとGoogleの「故人アカウント機能」を使う方法もあります。詳しくは「Apple・Googleの故人アカウント機能で家族にデータを残す」をご覧ください。

この記事を家族のLINEに送って、実家の親と一緒に「スマホのスペアキー」を作ってみてください。たった数分の準備が、もしものときの家族を救います。

情報源:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』−スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために−」(令和6年11月20日発表)国民生活センター「始めましょう!デジタル終活」(見守り新鮮情報)国民生活センター「生前整理 デジタル遺品リストを作りましょう」(見守り新鮮情報・第430号)

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