退院した親にリハビリを続けてほしい、体力が落ちてきたので歩く力を保ちたい。そんなときに使える介護保険のサービスが、デイケア(通所リハビリテーション)です。介護老人保健施設・介護医療院・病院・診療所に通い、医師の指示とリハビリの計画にもとづいて、理学療法士などのリハビリを受けます。使えるのは、要介護または要支援の認定を受けていて、主治医が必要と認めた人です。この記事では、デイケアの中身、どこで受けるか、使い始めるまでの流れ、要支援の人の扱い、病院のリハビリとの関係、費用の考え方をまとめます。
デイケアとは
デイケアは、介護保険法で「通所リハビリテーション」と呼ばれるサービスです。介護保険法の第8条第8項は、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行う理学療法、作業療法その他のリハビリテーションと定めています。
対象になるのは、どんな人でもよいわけではありません。介護保険法施行規則の第11条は、「病状が安定期にあり」、施設に通って、診療にもとづく計画的な医学的管理のもとでリハビリを受ける必要があること、という基準を置いています。当てはまるかどうかは主治医が判断するので、家族が自分で決める必要はありません。
病状が落ち着いたあとに、家での生活を続けるためのリハビリを、通いで受けるサービスです。
どこで受けるか
デイケアを受けられる施設は、施行規則の第12条で「介護老人保健施設、介護医療院、病院及び診療所とする。」と決められています。
この4つ以外の、デイサービスセンターのような通所介護の事業所では、デイケアは受けられません。近くでデイケアを行っている事業所は、ケアマネジャーに聞くほか、厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも探せます。
デイケアの中身(医師・リハビリ職・計画)
デイケアの事業所の国の基準(平成11年厚生省令第37号)を見ると、デイケアの特徴は次の3つです。
- 医師がいる ― 事業所に医師を1人以上置き、その医師は常勤とされています(第111条第1項・第3項)。介護老人保健施設や介護医療院が行う場合は、それぞれの施設の人員の基準を満たしていればよいとされています(同条第4項)
- リハビリの専門職がいる ― 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などを置くことになっています(第111条。診療所には人数の別の定めもあります)
- 医師の指示と計画にもとづいて行う ― サービスは「医師の指示及び次条第一項に規定する通所リハビリテーション計画に基づき」行います(第114条)
ここでいう医師は、デイケアの事業所の医師です。デイケアを使ってよいかを判断する主治医とは、制度の上ではそれぞれ別の役割があります。
リハビリの計画(通所リハビリテーション計画)は、医師と理学療法士などが、診療や運動機能の検査などをもとに共同して作ります(第115条)。計画の内容は本人や家族に説明され、本人の同意を得て、本人に渡されます。病院を退院した人の場合は、入院していた病院が作ったリハビリテーション実施計画書などで、それまでのリハビリの情報を把握したうえで計画を作ることになっています(同条第4項)。
同じ通いのサービスでも、デイサービス(通所介護)の国の基準には医師を置く定めがなく、計画は事業所の管理者が作ります(第93条・第99条)。違いの全体は、デイサービスとはの「デイケアとの違い」に表でまとめています。
使い始めるまでの流れ
介護保険法の第8条第8項は、デイケアの対象を、主治の医師がその治療の必要の程度について基準に合うと認めた人に限っています。本人や家族が使いたいと思っただけでは始められません。
ケアマネジャーの側にも決まりがあります。ケアプランを作るときの国の基準(平成11年厚生省令第38号)の第13条は、本人がデイケアなどの医療サービスの利用を希望している場合その他必要な場合には、本人の同意を得て「主治の医師等の意見を求めなければならない。」とし(第19号)、ケアプランに入れるのは主治の医師などの「指示がある場合に限り」としています(第20号)。
流れとしては、次のようになります。
- 要介護・要支援の認定がまだなら、市区町村に申請する(要介護認定とは)
- デイケアを使いたいことを、ケアマネジャーに伝える。要支援の人は地域包括支援センターに相談する(ケアマネジャーの役割はケアマネジャーとは)
- ケアマネジャーなどが、本人の同意を得て主治医の意見を聞く
- 主治医が必要と認めれば、ケアプランにデイケアを入れる
- デイケアの事業所で、医師などがリハビリの計画を作る
かかりつけの医師に、リハビリを続けたほうがよいか、デイケアが合っているかを、受診のときに相談しておくと話が進みやすくなります。
要支援の人は使えるか
要支援1・2の人も使えます。こちらは「介護予防通所リハビリテーション」という名前で、介護保険法の第8条の2で介護予防サービスの1つとして定められています。要介護の人と同じく、主治医が必要と認めた人に限られます(同条第6項)。
要支援の人向けの通いのサービスには、市区町村が行う総合事業の通所型サービスもあります(介護保険法第115条の45)。介護予防通所リハビリテーションは、総合事業ではなく、介護保険の介護予防サービスに入っています。要支援の人がどちらを使うかは、地域包括支援センターなどと相談して決めます。要支援1で使えるサービスの全体は要支援1で受けられるサービスで説明しています。
病院のリハビリとの関係
病院の外来リハビリを受けている人がデイケアを始めると、同じ病気などについて医療保険のリハビリを続けられる期間に制限がかかります。切り替える前に、病院とケアマネジャーの両方に確かめてください。
この扱いは、医療保険と介護保険の給付の調整を定めた厚生労働省の通知(平成18年の通知を令和8年3月27日に改正、令和8年6月1日から適用。近畿厚生局の掲載版)で決められています。診療を受けること自体が禁じられるのではなく、医療保険でリハビリの料金(疾患別リハビリテーション料)を算定できるかどうかの決まりです。
通知は、医療保険のリハビリを受けたあとにデイケアなどの介護保険のリハビリを始めた場合、利用を始めた日を含む月の翌月以降は、同じ疾患などについて、次のように定めています。
手術、急性増悪等により医療保険における疾患別リハビリテーション料を算定する患者に該当することとなった場合を除き、医療保険における疾患別リハビリテーション料は算定できない。
出典:厚生労働省「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」別添 10
家族向けに言い直すと、次のとおりです。
- 原則 ― 同じ病気などについて、デイケアを始めた月の翌月以降は、医療保険の外来リハビリ(疾患別リハビリテーション料)は算定できなくなる
- 例外1 ― 手術や急性増悪などで、医療保険のリハビリが必要な状態になった場合は除く
- 例外2 ― 病院のリハビリとは別の施設でデイケアなどを始めた場合は、始めた月の翌々月まで、デイケアを受けた日以外の日に限って、医療保険のリハビリも受けられる。ただし、翌月と翌々月に医療保険で受けられるリハビリの量には上限がある(1か月7単位まで)
- 体験の場合 ― 医療保険のリハビリを受けている間に、紹介されたデイケアを体験する目的で、1か月に5日を超えない範囲で利用した場合は、3か月以内に限り、医療保険のリハビリからデイケアに移ったとはみなされない(心大血管疾患と呼吸器のリハビリを除く)
つまり、デイケアを本格的に始めると、同じ病気の外来リハビリは、一定の期間をおいて介護保険のリハビリに移っていく仕組みです。どの病気が同じ扱いになるか、例外に当たるかは本人の状態で変わるので、主治医とケアマネジャーに確かめてから切り替えてください。
また、同じ通知は、医療保険の重度認知症患者デイ・ケアなどを受けている期間は、原則として介護保険のデイケアの費用を算定できないとしています(別添 11)。ただし、特定施設やグループホームに入居していない人は、デイケアを受けた日以外の日に限って、医療保険の重度認知症患者デイ・ケアなどを算定できるとされています。認知症で医療機関のデイ・ケアに通っている場合は、どちらをどう使えるかを主治医と事業所に確かめてください。
費用の考え方
デイケアの費用は、介護保険のサービス費の1割から3割を自己負担します。サービス費は、報酬を定めた国の告示で、次の組み合わせで決まっています。
- 事業所の規模(通常規模型か大規模型か)
- 利用時間の区分(1時間以上2時間未満から7時間以上8時間未満まで。実際にいた時間ではなく、リハビリの計画に位置づけた標準的な時間で決まる)
- 要介護度(要介護1から5)
これに、事業所が算定する加算や、送迎をしない場合などの減算、地域による違いが加わります。食事の費用やおむつ代は介護保険の対象外で、別にかかります(介護保険法第41条・施行規則第61条)。
実際の金額は、事業所の重要事項説明書で確かめるか、ケアマネジャーに聞いてください。デイケアも、ほかの在宅サービスと合わせて、要介護度ごとの1か月の利用限度額(区分支給限度基準額。介護保険法第43条)の中で使います。限度額を超えて使った分は、原則として全額が自己負担になるので、回数を増やすときは月全体の費用をケアマネジャーに確かめてください。上限の考え方は介護保険とはでまとめています。
まとめ
- デイケアは通所リハビリテーション。病状が落ち着いた人が、施設に通って医師の指示のもとでリハビリを受ける
- 受けられるのは、介護老人保健施設・介護医療院・病院・診療所
- 医師とリハビリ職がいて、医師などが作る計画にもとづいて行う。退院した人は病院のリハビリの情報を引き継いで計画を作る
- 使うには、要介護・要支援の認定と、主治医の判断が要る。ケアマネジャーなどが本人の同意を得て主治医の意見を聞く
- 要支援の人は介護予防通所リハビリテーションとして使える
- デイケアを始めると、同じ病気の外来リハビリは、原則として翌月以降は医療保険で算定できなくなる。手術・急性増悪、別の施設での移行期間、体験の扱いなどの例外があるので、切り替える前に病院とケアマネジャーに確かめる
- 費用は1割から3割の自己負担。1か月の利用限度額の中で使い、超えた分は原則として全額自己負担
介護保険制度は改正されることがあります。このページは2026年11月2日時点で確認できる法令・厚生労働省の資料に基づいています。
情報源:介護保険法第8条第8項・第8条の2・第41条・第43条・第49条の2・第53条・第59条の2・第115条の45、介護保険法施行規則第11条・第12条・第61条、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条・第99条・第111条(第1項・第3項・第4項)・第114条・第115条、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第19号・第20号、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)、厚生労働省「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」(平成18年4月28日老老発第0428001号・保医発第0428001号)の一部改正(老老発0327第2号・保医発0327第4号、令和8年3月27日、令和8年6月1日適用。近畿厚生局の掲載版)別添 10・11(令和8年5月1日の訂正の事務連絡で、この部分に訂正がないことを確認)、厚生労働省 介護サービス情報公表システム