詐欺対策・防犯

「お金が戻ってきます、ATMへ」は還付金詐欺の典型手口|見分け方と対策

「お金が戻ってきます、ATMへ」は還付金詐欺の典型手口|見分け方と対策

実家の固定電話に「市役所の○○です。医療費の還付金があります」「年金の戻り金がありますので、ATMへお越しください」――そんな電話がかかってきたことはありませんか?お金が戻ってくると言われると嬉しい気持ちになりますが、こうした電話は還付金詐欺の典型的な手口として警察庁が注意喚起しています。この記事では、警察庁の最新データをもとに、手口の流れ・見分け方・正しい対策をわかりやすく解説します。

1. 「ATMで還付金の手続き」は還付金詐欺の典型手口

役所や年金事務所、税務署、保険組合などを名乗って電話をかけ、「還付金がありますのでATMで手続きしてください」と言ってくる――これは、警察庁が「還付金詐欺」として注意喚起している古くからある典型的な詐欺の手口です。

結論からお伝えします。役所や年金事務所、税務署、保険組合がATMの操作を電話で指示することは通常ありません。本物の還付金は、書類で通知されたうえで指定の口座に振り込まれるのが一般的な流れです。

還付金詐欺は警察庁が注意喚起する典型手口

警察庁は、還付金詐欺について以下のように説明しています。

税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る電子計算機使用詐欺又は詐欺

つまり、被害者本人にATMを操作させ、本人に気づかれないまま犯人の口座にお金を送金させるのが、この詐欺の特徴です。

2. 警察庁が発表する被害状況

還付金詐欺は、特殊詐欺の中でも被害が継続している類型のひとつです。

還付金詐欺の最新データ(令和6年確定値)

警察庁が2025年5月23日に発表した確定値によると、令和6年(2024年)中の還付金詐欺の認知件数は4,070件、被害額は約63.7億円でした。認知件数は前年よりわずかに減少したものの、被害額は前年比で約12.4億円(+24.1%)増加しており、1件あたりの被害が大きくなっている傾向が見えます。

1日あたりに換算すると、約1,750万円が還付金詐欺の被害として失われている計算になります。

還付金詐欺は「電話が9割以上」

警察庁の統計によると、還付金詐欺で犯行の最初に使われるツールは電話が9割以上を占めており、その大半は固定電話です。これは「家族が家にいないタイミングを狙って電話がかかってくる」という構造を示しています。

被害者の年代

大阪府警が公表している令和6年中の確定値によると、還付金詐欺の被害者のうち65歳以上の高齢者が約87.0%、そのうち女性が約65.9%を占めています。実家のお父さん・お母さん、特にお母さんが狙われやすい詐欺だと言えます。

3. 還付金詐欺の典型的な流れ

還付金詐欺は、おおよそ以下の4ステップで被害者を追い込みます。

ステップ1:役所などを名乗る電話がかかってくる

市役所、区役所、税務署、年金事務所、健康保険組合、社会保険事務所などを名乗って電話がかかってきます。電話の主な口実は以下のようなものです。

  • 医療費の還付金があります」
  • 年金の戻り金がありますので手続きしてください」
  • 「保険料の過払い分を返金します」
  • 税金の還付手続きが期限間近です」

「期限が今日まで」「明日までに手続きしないと無効になる」と急がせるのが、この詐欺の典型的な特徴です。

ステップ2:携帯電話の番号を聞き出す

「ATMで手続きをしますので、ATMに着いたら携帯電話に連絡してください」と言われ、携帯電話の番号を聞き出されます。ここで携帯番号を伝えてしまうと、ATMでの操作中も犯人と通話を続けながら指示を受けることになります。

ステップ3:近くのATMに誘導される

「お近くのコンビニやスーパーのATMへお越しください」と誘導されます。誘導されるのはコンビニや無人のATMが多く、銀行の窓口がある時間帯を避ける傾向があります。これは、銀行員に止められないようにするためです。

ステップ4:ATMの前で電話越しに操作させられる

ATMに着くと、犯人から携帯に電話があり、「画面の指示通りに操作してください」と細かく指示してきます。実際には還付金を受け取る操作ではなく、犯人の口座にお金を振り込む操作をさせられているのですが、画面の数字が大きすぎて「何をしているのかわからないまま手続きが進む」というのが、被害者の多くが語る経験です。

送金後、「受け取りには税金がかかります」「もう一回手続きが必要です」と言われ、複数回に分けて送金させられることもあります。

4. 還付金詐欺の見分け方:5つのチェックポイント

還付金詐欺を見抜くために、以下の5つを確認しましょう。一つでも当てはまれば、詐欺の可能性が高いケースとして考えてください。

チェック1:ATMでの手続きを指示されている

役所や年金事務所が、還付金の受け取りでATMの操作を電話で指示することはありません。「ATMへ行ってください」と言われた時点で、詐欺を疑うポイントとなります。

チェック2:固定電話への着信である

還付金詐欺の大半は家の固定電話にかかってきます。家族が職場や学校に行っている平日の昼間が狙われやすい時間帯です。

チェック3:期限を強調して急がせる

「今日中に手続きしないと無効」「明日が締め切り」など、考える時間を与えない言い回しが特徴です。本物の役所手続きは、緊急性があってもまず書類で通知されるのが一般的です。

チェック4:携帯電話の番号を聞かれる

「ATMでお手伝いするので携帯電話の番号を教えてください」と聞かれたら、詐欺の可能性が高いです。本物の役所がATM操作のために携帯番号を聞き出すことはありません。

チェック5:還付金額が思いのほか大きい

「数十万円の還付金があります」と言われた場合、本物の還付金で事前通知なく金額だけ電話で伝えられることはありません。本物の還付金は通常、書類による事前通知があります。

5. やってはいけない3つの行動

還付金詐欺の被害を防ぐために、やってはいけないこと
① 「ATMへ行ってください」と言われて、ATMに行く
② 携帯電話の番号を電話口で伝える
③ 電話を切らずにATMで指示通りに操作する

特に重要なのは、最初の「ATMに行かない」という1点です。ATMに行ってしまうと、犯人と通話を続けながら操作してしまい、被害につながりやすくなります。

「お金が戻ってくる手続きをATMでする」――これは本物の手続きにはない流れです。ATMという言葉が出た時点で電話を切ることが、被害を防ぐ一番の方法です。

6. 正しい対処法

役所などを名乗る電話で「還付金があります」と言われた場合の正しい対処法を、順を追って紹介します。

対処1:いったん電話を切る

「還付金」「ATMへ」「携帯電話の番号」――どれかひとつでも出てきたら、「家族と相談してから折り返します」と言って電話を切るのが最も安全です。本物の役所であれば、家族と相談したうえで折り返すと言って怒ることはありません。

対処2:相手が言ってきた番号にはかけ直さない

電話の相手が「こちらに連絡してください」と言ってきた番号には、かけ直さないでください。その番号は犯人グループのものである可能性があります。

対処3:自分で調べた役所の代表番号にかける

本当に還付金があるかどうかを確認したい場合は、市役所や年金事務所の代表番号を自分で調べて、そこに電話するのが正解です。スマートフォンで「○○市役所 電話番号」と検索したり、市の広報誌や郵便物に書いてある番号にかけましょう。

対処4:家族に相談する

少しでも不安に感じたら、子どもや配偶者、近所の信頼できる人に相談してください。「家族に相談する」と一言伝えるだけで、犯人は深追いしないケースが多いとされています。

7. 家族と一緒に守るために

還付金詐欺の被害は、特に65歳以上の女性に集中しています。実家のお父さん・お母さんを守るために、帰省したときや電話したときに、ぜひ次の3つを伝えてあげてください。

実家の親に伝えたい3つのこと

  1. 還付金があります、ATMで手続きを」という電話は、いったん切る
  2. 相手が言ってきた番号にはかけ直さず、自分で調べた役所の代表番号に電話する
  3. 少しでも迷ったら、必ず家族に相談する(電話番号をすぐ見える場所に貼っておくと安心)

事前にできる予防策

家族で次のような予防策を相談しておくと、いざという時に冷静に行動しやすくなります。

  • 固定電話に留守番電話設定をして、すべての着信を一度録音する
  • ナンバーディスプレイを契約して、知らない番号には出ない習慣をつける
  • 国際電話の着信ブロックを申し込む(海外からの詐欺電話を防げます)
  • 連絡できる家族の電話番号を電話の近くに貼っておく

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金融機関のATM振込制限も活用できる

多くの金融機関では、一定年数以上ATM振込を行っていない高齢者口座のATM振込限度額をゼロ円または少額に制限する取り組みを行っています。これは警察庁と金融機関が連携して進めている対策で、令和7年末時点で47警察本部・847金融機関が参加しています。

取引銀行の窓口で、ATM振込制限の設定について相談してみるのもひとつの方法です。

8. もし被害に遭ってしまったら

すでにATMで送金してしまった場合は、すぐに次の対応をしてください。1分でも早い対応が、被害金の取り戻しにつながる可能性があります。

対応1:すぐに振込先の銀行と自分の銀行に連絡

送金した直後であれば、銀行が取引停止や口座凍結などの対応をしてくれる場合があります。まずは送金した銀行の窓口やコールセンターに電話し、「詐欺で送金してしまった」と伝えてください。

対応2:警察相談専用電話「#9110」または110番に電話

  • すでに送金してしまった場合は110番(警察)にかけて被害届を出す準備をしましょう
  • 事件として扱うべきか迷う段階では「#9110」(警察相談専用電話)に電話
  • 受付時間:平日午前8時30分~午後5時15分(地域により異なる)

対応3:消費者ホットライン「188」も活用

金銭トラブルや消費者問題の観点からは、消費者ホットライン「188」(いやや)に相談できます。最寄りの消費生活センターにつながり、専門の相談員がアドバイスしてくれます。

対応4:振り込め詐欺救済法による被害回復

振り込め詐欺救済法という法律に基づき、犯人の口座が凍結された場合、被害金が一部または全額返還される制度があります。預金保険機構や金融機関に確認してください。

まとめ:覚えておきたい3つのポイント

  • 還付金があります、ATMへ」は還付金詐欺の典型的な手口
  • 役所や年金事務所がATMの操作を電話で指示することは通常ない
  • 不安ならいったん切って、自分で調べた役所の代表番号に電話する

還付金詐欺は、「お金が戻ってくる」という嬉しい言葉で判断力を奪うのが特徴です。仕組みを知っているかどうかで、防げるかどうかが大きく変わります。

この記事を家族のLINEに送って、実家のお父さん・お母さんにも読んでもらってください。たった5分の確認が、何百万円もの被害を未然に防ぐきっかけになります。

情報源:警察庁「令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」(令和7年5月23日発表確定値)、警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」(令和8年2月12日発表暫定値)、警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ、東京都生活文化局・特殊詐欺認知状況、大阪府警察本部・特殊詐欺認知件数と被害金額、埼玉県警察・特殊詐欺統計資料、警察相談専用電話「#9110」、消費者ホットライン「188」、振り込め詐欺救済法、預金保険機構

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