介護保険負担割合証は、介護サービスを使うときの自己負担が1割、2割、3割のどれかを示す証です。割合を決めるのは主に、本人の合計所得金額と、同じ世帯の65歳以上の人の年金収入などです。本人の合計所得金額が160万円未満なら、世帯の収入にかかわらず1割です。2割になるのは本人が160万円以上、3割になるのは本人が220万円以上で、どちらも世帯の収入が基準以上のときです。証が届いたら、割合と有効期限を確かめ、サービスを使うときに介護保険被保険者証と一緒に事業所に見せてください。割合の理由が分からないときは、市区町村の介護保険の窓口で聞けます。
1割、2割、3割の決まり方
基準は介護保険法施行令の第22条の2に定められています(要支援の人は第29条の2)。岡山市や札幌市の案内もあわせて整理すると、次のとおりです。
| 割合 | 本人の合計所得金額 | 同じ世帯の65歳以上の人全員の「年金収入+その他の合計所得金額」を合わせた額 |
|---|---|---|
| 3割 | 220万円以上 | 世帯の65歳以上が本人だけなら340万円以上、2人以上なら463万円以上 |
| 2割 | 160万円以上 | 世帯の65歳以上が本人だけなら280万円以上、2人以上なら346万円以上(3割に当たらない人) |
| 1割 | 上のどちらにも当たらない人 | |
次の人も1割です。
- 40歳から64歳までの第2号被保険者で、特定疾病によって介護保険のサービスを使う人
- 市町村民税が課されていない人
- 生活保護を受けている人
この表は目安で、正確な判定は市区町村が行います。ここでいう世帯は、住民基本台帳上の世帯です(札幌市の案内)。64歳以下の家族と同居していても、世帯の65歳以上が本人だけなら「本人だけ」の基準を見ます。65歳になったときは、翌月(1日が誕生日の人などはその月)から2割や3割になる場合があります(札幌市の案内)。
本人と世帯の両方を見る
「世帯の所得が多いから2割」というわけではありません。まず本人の合計所得金額を見て、基準以上なら世帯の収入を見ます。本人の合計所得金額が160万円未満なら、配偶者の収入が多くても1割です。
たとえば、世帯の65歳以上が本人だけの人を考えます。
- 合計所得金額が170万円で、年金収入+その他の合計所得金額が300万円なら、2割
- 合計所得金額が170万円で、年金収入+その他の合計所得金額が270万円なら、280万円に届かないので1割
- 合計所得金額が230万円で、年金収入+その他の合計所得金額が300万円なら、340万円に届かないので3割ではなく2割
本人の合計所得金額が220万円以上でも、世帯の収入が3割の基準に届かなければ、2割や1割になります。まず3割の条件を見て、当たらなければ2割の条件を見てください。
夫婦とも65歳以上の世帯では、2人の「年金収入+その他の合計所得金額」を合わせて346万円、463万円の基準を見ます。本人の合計所得金額は1人ずつ見るので、夫婦で割合が違うこともあります。
「合計所得金額」と「年金収入」は別の数字で、「その他の合計所得金額」は年金以外の所得のことです。札幌市の案内によると、合計所得金額は、収入から給与所得控除額や公的年金等控除額などを差し引いたものです。受け取った年金の金額がそのまま合計所得金額になるわけではありません。年金収入には、遺族年金や障害年金などの非課税の年金は含みません。計算には特例もあるので、数字が分からないときは窓口で聞いてください。
いつの所得で決まるか
使うのは前年の所得です。ただし1月から7月は、前々年の所得を使います(施行令第22条の2第1項)。つまり、令和8年8月から令和9年7月までの割合は、令和7年の所得で決まります。
負担割合証とは
介護保険法施行規則の第28条の2は、市町村が、要介護や要支援の認定を受けた人に、利用者負担の割合を書いた証を、有効期限を定めて交付するとしています。岡山市のように、総合事業の事業対象者にも送っている市区町村もあります。
この割合が当たるのは、介護保険の対象になるサービスの費用です。施設での食費や居住費、日常生活の費用など、別に払う費用まで1割から3割になるわけではありません。
神戸市は、証を提示できなかった場合は、1割負担の人でも2割や3割で請求されることがあると案内しています。サービスを使うときは、忘れずに見せてください。
介護保険被保険者証との違い
2つの証は役割も有効期間も別です。サービスを使うときは両方が要ります。岡山市の案内をもとに整理すると、次のようになります。
| 負担割合証 | 被保険者証 | |
|---|---|---|
| 分かること | 自己負担の割合 | 介護保険の被保険者であることを示す証。認定を受けると、認定の内容や有効期間も確かめられる |
| 有効期間 | 岡山市の案内では1年間(8月1日から翌年7月31日) | 認定の有効期間は、これとは別 |
| サービスを使うとき | 2つとも事業所に見せる | |
認定の有効期間が残っていても、負担割合証は毎年新しくなります。新宿区は、令和8年8月からの証を令和8年7月15日に発送すると案内していました。届く時期は市区町村の案内で確かめてください。
届いた証で確かめること
- 負担の割合 ― 去年と変わっていたら、前の年の所得や世帯の変化を思い出してください。理由が分からなければ窓口で聞けます
- 有効期限 ― 今の証がいつまで使えるかを見ます。新しい証が届いたら、事業所に見せてください
- 名前 ― 本人のものかを確かめます
割合が変わったときは、担当のケアマネジャー(介護の計画を作る専門職)にも伝えておくと、月々の費用の見通しを立て直しやすくなります。
途中で変わるとき、なくしたとき
有効期間の途中で割合が変わることもあります。岡山市は、世帯の構成が変わったときや所得の修正があったときに変更となる場合があると案内しています。転入した人は、市が前の住所地の所得を確かめたうえで、割合をさかのぼって見直すことがあるとしています。
割合が変わったときや有効期限が来たときは、証を市区町村に返すことになっています(施行規則第28条の2第2項)。
保険料を長く滞納すると、証の割合より重い負担になることがあります。新宿区は、2年以上滞納した場合、1割または2割の人は3割に、3割の人は4割になると案内しています。
なくしたときは、窓口に申請します。札幌市は、申請によって再交付すると案内しています。手続きは市区町村によって違います。
割合に納得できないとき
市区町村の介護保険の窓口に、判定に使った所得と世帯の内容を聞いてください。窓口が分からないときは、地域包括支援センターにも相談できます。
費用が気になるときは、次の記事も参考にしてください。
- 毎月の自己負担が高いとき ― 高額介護サービス費
- 毎月の枠を超えそうなとき ― 介護保険の限度額を超えたらどうなる?
- 介護保険の全体の仕組み ― 介護保険とは
まとめ
- 負担割合証は自己負担の割合を示す証。被保険者証とは別のもの
- まず本人の合計所得金額、次に世帯の65歳以上の人の収入を見る。本人が160万円未満なら1割
- 表は目安で、判定は市区町村が行う。合計所得金額の計算には特例がある
- 有効期間は認定とは別。岡山市の案内では8月1日から翌年7月31日で、毎年新しくなる
- 途中で変わることもある。分からないとき、なくしたときは市区町村の介護保険の窓口へ
介護保険制度は改正されることがあります。このページは2026年11月5日時点で確認できる法令・自治体の案内に基づいています。お住まいの市区町村の案内もあわせて確認してください。
情報源:介護保険法第49条の2・第59条の2、介護保険法施行令第22条の2・第29条の2、介護保険法施行規則第28条の2、岡山市 介護保険の利用者負担(2018年4月19日)、札幌市「介護保険サービスを利用したときの利用者負担割合について」(2026年10月28日更新)、神戸市 利用者負担割合(2026年8月18日更新)、新宿区 負担割合証の発送