要支援と要介護1の人は、介護ベッド(特殊寝台)のレンタルは、原則として介護保険の対象外です。ただし例外があるので、要介護1だから絶対に借りられない、というわけではありません。例外は2つです。1つは、認定調査の結果で起き上がりや寝返りが「できない」とされている場合です。もう1つは、医師の所見とケアマネジャーの検討をもとに、市町村が確認した場合です。介護保険を使わずに全額自己負担で用意することもできます。まず担当のケアマネジャーか地域包括支援センターに、起き上がりや寝返りの様子を伝えて相談してください。
原則は対象外
厚生労働省の資料は、要支援と要介護1の人について、次の用具のレンタルは原則として介護保険の対象外としています。
- 車いす(付属品を含む)
- 特殊寝台(付属品を含む)
- 床ずれ防止用具、体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引するものを除く)
付属品のマットレスやサイドレール、ベッド用手すりも、特殊寝台と同じ扱いです。要介護2以上の人は、介護ベッドについてこの原則の制限はありません。
ここでいう特殊寝台は、サイドレールが付いているか付けられるもので、背や脚の傾きを調整できるか、床板の高さを無段階に調整できるものです(平成11年厚生省告示第93号)。家具として売られているベッドがすべて当たるわけではありません。
例外1:認定調査の結果で当たるとき
要介護認定の基本調査の結果から、次のどちらかに当たる人は、例外の対象になります。
- 日常的に起き上がりが難しい(調査項目1-4の結果が「3.できない」)
- 日常的に寝返りが難しい(調査項目1-3の結果が「3.できない」)
国の通知は、基本調査の直近の結果を使って要否を判断するとしています。そこから先の進め方は市区町村の案内で確かめます。たとえば神戸市は、直近の認定調査の結果で状態が確認できれば、サービス担当者会議などを通じたケアマネジメントを前提に、ケアマネジャーが判断して導入し、確認の申請は不要としています。
結果が「3.できない」でないときは、次の例外2を検討します。調査の結果がどうだったかは、担当のケアマネジャーに聞いてみてください。
例外2:医師の所見をもとに市町村が確認したとき
調査の結果で「できない」に当たらなくても、もう一つの道があります。病状の変化や医学的な危険性などから、次の3つのどれかに当たると医師が医学的な所見で判断する場合です。そのうえでサービス担当者会議などを通じて特に必要と判断され、市町村が書面などで確認して、借りられるかを判断します(厚生労働省の資料)。
| 状態 | 厚生労働省の例 |
|---|---|
| 状態が変わりやすく、日や時間帯によって頻繁に、起き上がりや寝返りができなくなる | パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象 |
| 状態が急速に悪くなり、短期間のうちに起き上がりや寝返りができなくなることが確実に見込まれる | がん末期の急速な状態悪化 |
| 体への重大な危険や症状が重くなることを避けるために、医学的に起き上がりや寝返りができない状態と判断できる | ぜんそく発作などによる呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避 |
医師の診断書があれば必ず借りられるとは限りません。医師の所見、ケアマネジャーを中心にした検討、市町村の確認がそろって、要否が判断されます。上の表は国の資料の例で、病名だけで決まるものでもありません。医師の所見は、主治医意見書、診断書、ケアマネジャーが聞き取って計画に書いた所見のいずれでもよいとされています。
末期がんなどで急いでいるときは、急いでいることをケアマネジャーと窓口にはっきり伝えてください。厚生労働省の事務連絡は、状態の急速な悪化が確実に見込まれる人は、要支援や要介護1でも、市町村の判断で対象にできるとしています。神戸市は、がん末期の場合に提出書類を簡略化しています。
例外で借りたあとも、必要性は見直されます。神戸市は、不要となれば貸与を中止すると案内しています。
相談のしかた
担当のケアマネジャーがいないときは、地域包括支援センターか市区町村の介護保険の窓口が相談先です。次の3つを伝えてください。
- 起き上がりと寝返りの様子 ― 一人でできるか、日や時間で違うか
- 主治医から聞いていること ― 病名だけでなく、これから状態がどうなりそうか
- 困っている場面 ― 夜のトイレ、立ち上がり、家族の介助など
医師の所見のとり方や必要な書類は市区町村で違うので、窓口の案内に沿って進めます。
例外に当たらないとき
例外に当たらなくても、できることがあります。
- ほかの用具を相談する ― 厚生労働省の資料の原則対象外の一覧に、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえは入っていません(神戸市の案内も同じです)。起き上がりや立ち上がりで困っている場面を伝えて、別の方法がないかを聞いてみてください。用具の全体は福祉用具はレンタルと購入のどちらがよい?で説明しています
- 状態が変わったら区分変更を相談する ― 認定を受けたときより介護の手間が増えているなら、有効期間の途中でも申請できます。ただし結果は審査しだいです。流れは要介護認定とはで説明しています
- 介護保険を使わずに用意する ― レンタルや購入の費用は全額自己負担です。金額を確かめ、使うことをケアマネジャーにも伝えてください
まとめ
- 要支援と要介護1は、介護ベッドのレンタルは原則対象外。付属品も同じ
- 例外の1つ目は認定調査の結果。起き上がりか寝返りが「できない」とされている場合
- 例外の2つ目は医師の所見、ケアマネジャーを中心にした検討、市町村の確認。診断書があれば必ず借りられるとは限らない
- まずケアマネジャーか地域包括支援センターへ。起き上がりと寝返りの様子を伝える
- 当たらないときは、ほかの用具や区分変更を相談する。
介護保険制度は改正されることがあります。このページは2026年11月5日時点で確認できる厚生労働省資料・自治体の案内に基づいています。手続きは市区町村によって違うため、お住まいの市区町村の案内もあわせて確認してください。
情報源:厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」、厚生労働省 事務連絡「末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱等について」(平成22年10月25日)、平成11年厚生省告示第93号、介護保険最新情報 Vol.1296(令和6年8月2日)、老企第34号、介護保険法第29条、神戸市「軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付の取扱いについて」(令和2年10月更新)