親の介護で仕事を休むとき、短い用事には介護休暇、まとまった期間には介護休業が使えます。介護休暇は1年度に5日(対象の家族が2人以上なら10日)で、時間単位でも取れます。介護休業は家族1人につき通算93日、3回までです。どちらも、2週間以上にわたって常時介護が必要な状態の家族が対象です。会社は、条件を満たす人の申し出を断れません。ただ、どちらも法律で賃金の支払いが決まっているわけではなく、休めることと給付金が出ることは別です。まず会社に「親に介護が必要になった」と伝えてください。2025年4月から、会社はそう申し出た人に制度を知らせることになっています。
介護休業と介護休暇の違い
どちらも育児・介護休業法に定められた制度で、年次有給休暇とは別のものです。違いを表にすると、次のようになります。
| 介護休業 | 介護休暇 | |
|---|---|---|
| 対象の家族の状態 | 2週間以上にわたって常時介護が必要な状態 | 同じ |
| 使える長さ | 対象の家族1人につき通算93日、3回まで | 1年度に5日(対象の家族が2人以上なら10日) |
| 単位 | 開始日と終了日を決めて休む | 1日または時間単位 |
| 申し出 | 希望の日から休むには、開始の2週間前まで | 当日の電話でも取れる |
| 労使協定で対象外にできる人 | 勤続1年未満の人、93日以内に雇用が終わる人、決まった勤務日が週2日以下の人 | 決まった勤務日が週2日以下の人(時間単位で取ることが難しい業務の人は、時間単位だけ対象外にされることがある) |
| 休んだ分の賃金 | 法律の決まりはなく、会社の定めによる | 法律の決まりはなく、会社の定めによる |
| 雇用保険の給付金 | 条件を満たせば介護休業給付金 | 対象外 |
「労使協定で対象外にできる人」は、会社と労働者の代表の間で協定を結んでいる場合の話です。勤続1年未満の人が、誰でも自動的に使えなくなるわけではありません。日々雇われている人は、どちらも対象外です。公務員には別の規定があるので、この記事は民間で働く人向けです。自分の会社の決まりは、就業規則か担当の部署で確かめてください。休業中の待遇は、会社が定めて知らせるよう努めることになっています(第21条の2)。
対象の家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
まとまって休むときは介護休業
介護休業は、家族の介護の体制を整えるために一定期間休む場合に使う制度です。「あらまし」は、介護保険サービスを受けるための準備期間としても活用するよう案内しています。対象は、けがや病気、障害のために、2週間以上にわたって常時介護が必要な状態の家族です。
ここでいう「常時介護が必要な状態」は、介護保険の認定そのものではありません。厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」は、要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を、制度を使う条件にはできないとしています。同じ資料の基準では、要介護2以上なら当たるほか、認定がなくても、座っていられるか、歩けるかといった状態の項目で当たることがあります。迷うときは、あらましの63ページの基準の表を見ながら、会社の担当の部署に聞いてください。
休む期間が2週間以上である必要もありません。厚生労働省のQ&Aは、「2週間以上」は家族が常時介護を必要とする期間のことで、休業の期間のことではないと説明しています。
いつまでに、どう申し出るか
申し出は書面で行います。会社が認めれば、ファクスやメールなどでもかまいません。対象の家族と続柄、要介護状態にあること、休み始める日と終わる日などを伝えます。
休み始めたい日の2週間前までに申し出ると、希望の日から休めます。それより遅い申し出でも、断られるわけではありません。ただし会社は、開始日をあとにずらして指定できます。指定できるのは、申し出の翌日から2週間を経過する日までです(第12条第3項)。急な場合は、まず会社に相談してください。
有期契約の人の条件
期間を定めて雇われている人も、原則として申し出ができます。申し出ができないのは、休み始める予定の日から93日たった日から、さらに6か月たつ日までの間に契約が終わり、更新もないことがはっきりしている人です(第11条第1項)。
通院の付き添いなど、短い用事は介護休暇
介護休暇は、通院の付き添いや、介護サービスの手続きの代行など、対象の家族の介護や世話のための短い休みです。家族の状態の条件は介護休業と同じで、要介護状態にある家族が対象です(第16条の5第1項)。「あらまし」によると、会社は当日の電話などの申し出でも取得を認め、書面が必要な場合も事後でよいとする必要があります。朝になって急に付き添いが必要になったときにも使えます。
時間単位の取得は、始業の時刻から続けて、または終業の時刻まで続けて取る形です。勤務の途中で抜けて戻る取り方を認めることまでは、法律は会社に求めていません。時間単位で取ることが難しい業務の人は、労使協定で時間単位だけ対象外にされることがありますが、その場合も1日単位では取れます。
2025年4月からは、勤続6か月未満の人を労使協定で対象外にする規定がなくなりました。
介護休業給付金は、休めても必ず出るとは限らない
介護休業そのものは育児・介護休業法の制度で、給付金は雇用保険の制度です。条件が別なので、分けて確かめます。ハローワークのリーフレット(2026年8月版)と案内ページによると、主な条件は次のとおりです。
- 雇用保険の加入期間 ― 介護休業を始めた日の前2年間に、賃金が支払われた日数が11日以上の月(12か月に満たない場合は80時間以上の月も数える)が12か月以上あること。過去に失業給付(基本手当)などの受給資格の決定を受けた人は、その後の月だけを数えます。病気などで30日以上賃金がなかった期間があれば、2年は最大4年まで延びます
- 休業中の働き方 ― 休業の開始日から区切る1か月ごとの期間で、働いた日が10日以下であること。最後の期間が1か月未満になる場合は、全日休業した日が1日以上あることも必要です
- 休業中の賃金 ― 1か月ごとに、休業前の賃金の8割以上が支払われていないこと
- 回数と日数 ― 同じ家族について93日を限度に3回まで
- 有期契約の人 ― 介護休業と同じ契約期間の条件も満たすこと
介護休業の当初から退職を予定している場合は、対象になりません。厚生労働省のQ&Aは「介護休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です」と説明しています。1か月ごとの期間の途中で退職すると、その期間の分も出ません。介護を理由に仕事を辞めることを考えているときは、先にハローワークに確かめてください。
いくら出るか
原則は、休業前の1日分の賃金(賃金日額)×支給日数×67%です。賃金日額は、原則として休業前6か月の賃金を180で割った額で、賞与は入りません。厚生労働省のQ&Aは、休業前の賃金が平均月30万円程度の場合で月20.1万円程度という目安を示しています。1か月あたりの上限は366,222円です(令和9年7月31日までの額。厚生労働省掲載のリーフレット)。休業中に会社から賃金が出ると、減ったり出なくなったりすることがあります。
申請は会社を通すのが基本
申請は、原則として会社を通して行います。本人が希望すれば、本人が手続きすることもできます(厚生労働省のQ&A)。申請できるのは休業が終わったあとで、たとえば7月25日に終わったときの期限は9月30日です(3か月以上休むときは、開始から3か月を経過する日で数えます)。給付金が入るのは申請のあとです。休業中の給与の扱いと社会保険料の払い方は、休む前に会社に確かめてください。
会社に言いにくいとき
会社は、条件を満たす人の申し出を断れません。育児・介護休業法の第12条第1項は、次のように定めています。
事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない。
出典:育児・介護休業法 第12条第1項
介護休暇も同じです(第16条の6第1項)。休みを取ったことを理由に不利益な扱いをすることも認められていません。
2025年4月からは、家族の介護に直面したことを申し出た人に、会社が制度を個別に知らせて、利用するかどうかを確認することが義務になりました(厚生労働省 介護休業制度特設サイト)。取得を控えさせるような周知や確認は認められていません。
相談先は内容で分かれます。
- 休めない、断られた ― 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。労働局の所在地一覧から探せます
- 給付金の条件や金額 ― ハローワーク
- 親の介護そのもの ― 市区町村の介護保険の窓口、地域包括支援センター、担当のケアマネジャー。仕事で話し合いの場に出られないときはサービス担当者会議には家族も出る?を見てください
まとめ
- 短い用事は介護休暇、まとまった期間は介護休業。介護休暇は1年度に5日(2人以上で10日)、介護休業は通算93日で3回まで
- 介護保険の認定がなくても対象になることがある。認定の通知書を条件にはできない
- 対象外になるのは労使協定がある場合など。就業規則か担当の部署で確かめる
- 休んだ分の賃金は会社の定めしだい。給付金は雇用保険の条件を満たしたときで、退職を予定していると対象にならない
- 断られたら労働局、給付金はハローワーク、親の介護は地域包括支援センターへ。
制度は改正されることがあります。このページは2026年11月4日時点で確認できる法令・厚生労働省資料に基づいています。金額は改定されることがあるため、申請の前にハローワークで確かめてください。
情報源:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第11条・第12条・第16条の5・第16条の6・第21条・第21条の2、雇用保険法第61条の4・附則第12条、厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(令和7年4月1日、10月1日施行対応)、厚生労働省 介護休業制度特設サイト「法改正のポイント」、厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」、ハローワーク「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」(2026年8月)、同(厚生労働省掲載版)、ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」、厚生労働省「都道府県労働局所在地一覧」