ケアマネジャー(介護支援専門員)は、どの介護サービスをどう使うかを一緒に考え、事業所との間を調整する人です。相談やケアプランの作成に、利用者の自己負担はありません。この記事では、何をしてくれるのか、どうやって探すか、ケアプランとは何かをまとめます。
ケアマネジャーとは
正式な名称は介護支援専門員です。介護保険法の第7条第5項は、この人を要介護者等からの相談に応じ、適切なサービスを利用できるよう市町村や事業者との連絡調整等を行う者と定めています。
多くは居宅介護支援事業所に所属していて、1人のケアマネジャーが複数の利用者を担当します。訪問介護やデイサービスの事業所とは別の立場で、サービスを提供する側ではなく、組み立てる側にいます。
要介護1から5と認定され、自宅で介護サービスを利用する場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーを決めるところから始まります。
何をしてくれるのか
役割は、運営基準という国の決まりで具体的に定められています。
ケアプランを作る
どのサービスを、いつ、どのくらい使うかを計画にします。作る前に、利用者の居宅を訪問し、本人と家族に面接して生活上の課題を把握することが決められています。
計画の案ができたら、サービス担当者会議を開きます。これは、本人と家族の参加を基本としつつ、訪問介護やデイサービスなど関わる事業所の担当者を集めて行う会議です。家族が同席して希望を伝えられる場でもあります。
使い始めてからも定期的に確認する
計画を作って終わりではありません。運営基準は、サービスの実施状況を把握すること(モニタリング)について「少なくとも一月に一回、利用者に面接すること」「面接は、利用者の居宅を訪問することによって行うこと」と定めています。
一定の条件を満たす場合に限り、2か月に1回の訪問とし、訪問しない月はテレビ電話等で面接する方法も認められています。ただしこの場合は、本人の状態が安定していることなどについて、関係者の合意と本人の同意が必要です。
月に一度は様子を見に来るのが基本と考えておくと、訪問の頻度に違和感があったときに気づけます。
手続きを助ける
認定に関する援助も役割に入っています。運営基準は次のように定めています。
- 要介護認定を受けていない人には、速やかに申請が行われるよう必要な援助を行う
- 更新の申請が、遅くとも有効期間の満了日の30日前には行われるよう必要な援助を行う
認定の申請から結果が出るまでの流れは、要介護認定とはでまとめています。
さらに、入院したときのために、あらかじめ「入院する必要が生じた場合には、ケアマネジャーの氏名と連絡先を病院に伝えるよう」求めることになっています。入院時に病院とケアマネジャーがつながると、退院後の段取りが早く進みます。
費用はかかるのか
かかりません。相談もケアプランの作成も、利用者の自己負担はありません。
介護保険法の第46条は、居宅介護支援を受けたときに居宅介護サービス計画費を支給すると定めています。他のサービスのような1割から3割の負担を求める規定がなく、全額が保険から支払われる仕組みです。
そのため、「相談だけして、まだサービスを使わない」という段階でも費用は発生しません。迷っている時期に相談することをためらう必要はありません。
どうやって探すか
自分で見つける必要はありません。次のいずれかで一覧をもらえます。
- 市区町村の介護保険の窓口 ― 地域の居宅介護支援事業所の一覧があります
- 地域包括支援センター ― 状況を聞いたうえで、合いそうな事業所を教えてもらえます
- 入院中なら病院の相談窓口 ― 退院後の生活の相談と一緒に進められます
選ぶときに確認できること
運営基準には、利用者が確認できる仕組みが用意されています。
まず、サービスの利用を始めるときに、事業者は「利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができる」ことを説明しなければならないと定められています。1つの事業所だけを示されて決めなければならない、ということはありません。
もう一つ、事業者は次の割合を説明するよう努めることとされています。
- その事業所が過去6か月に作ったケアプランのうち、訪問介護・通所介護・福祉用具貸与・地域密着型通所介護がそれぞれ位置づけられた割合
- それらのサービスが、同一の事業者によって提供されたものが占める割合
これは、特定の事業所にサービスが偏っていないかを、利用者側が数字で確認できるようにした仕組みです。気になる場合は説明を求められます。
ケアプランとは
正式には居宅サービス計画といいます。介護保険法は、本人の心身の状況や置かれている環境、本人と家族の希望を勘案して、利用するサービスの種類・内容・担当者などを定めた計画としています。
運営基準では、計画の案に次のことを書くと定められています。
- 利用者と家族の生活に対する意向
- 総合的な援助の方針
- 生活全般の解決すべき課題
- サービスの目標と、その達成時期
- サービスの種類、内容、利用料
- サービスを提供するうえでの留意事項
ここで大事なのは、ケアプランはケアマネジャーが一方的に決めるものではないということです。本人と家族の意向を書く欄があり、担当者会議で確認し、最終的に本人の同意を得て決まります。
内容に納得できないまま進める必要はありません。「この回数では足りない」「この曜日は難しい」といったことは、案の段階で伝えてかまいません。
要支援のときの相談先
要支援1・2と認定された場合は、地域包括支援センターが主な相談先になります。2024年4月からは、市町村の指定を受けた居宅介護支援事業者が介護予防支援を行うこともできるようになりました。どこに依頼できるかは市区町村によって異なるため、まず地域包括支援センターや市区町村の窓口で確認すると確実です。
地域包括支援センターは、介護保険法で定められた施設で、市区町村が設置するか、委託を受けた法人が運営しています。介護予防のケアマネジメントのほか、高齢者に関する総合的な相談窓口でもあります。
要介護かどうかまだ分からない段階、認定を受けていない段階でも相談できます。どこに相談すればよいか分からないときの最初の窓口として使えます。
合わないと感じたら
担当のケアマネジャーとやりとりしていて、話が通じにくい、提案が偏っていると感じることがあります。
運営基準は、事業者に公正中立を求めています。利用者に提供されるサービスが「特定の種類又は特定の指定居宅サービス事業者等に不当に偏することのないよう」行わなければならない、という定めです。また、サービスは利用者の選択に基づき、多様な事業者から提供されるよう配慮することとされています。
担当者は変更できます。同じ事業所の中で担当を替えてもらう方法と、事業所ごと変える方法があります。手続きの具体的な流れは、ケアマネは途中で変更できる?でまとめています。
まとめ
- ケアマネジャーは、サービスを提供する側ではなく組み立てる側。正式には介護支援専門員
- 相談もケアプランの作成も自己負担はない。使うかどうか迷っている段階でも相談できる
- 月に一度は訪問して面接するのが基本。運営基準で定められている
- 認定の更新は、満了日の30日前までに申請されるよう援助することになっている。
- 複数の事業者を紹介するよう求められる。偏っていないかを割合で説明する仕組みもある
- ケアプランは本人の同意を得て決まる。納得できないまま進める必要はない
- 要支援1・2はまず地域包括支援センターへ。指定を受けた居宅介護支援事業者が担当することもある。認定前でも相談できる
介護保険制度や介護報酬は改正されることがあります。このページは2026年10月時点で確認できる法令・厚生労働省資料に基づいています。事業所の探し方や窓口の名称は市区町村によって異なる部分があるため、お住まいの市区町村の案内もあわせて確認してください。
情報源:介護保険法第7条・第8条・第46条・第115条の46、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第1条の2・第4条・第8条・第13条、厚生労働省「介護保険制度の概要」(令和7年7月)